「行政書士 ソフト」や「行政書士 案件管理」で調べても、「これを選べば間違いない」という答えはなかなか見つかりません。
税理士には定番の会計ソフトがあり、司法書士には登記の専用ソフトがあります。行政書士には、そうした定番の業務ソフトがないのが実情です。
先に答えを書くと、事件簿と見積書・請求書・領収証は行政書士向けの専用ソフトに任せ、更新期限と進み具合の管理はGoogleカレンダーやkintoneなどの汎用ツールで行うのが現実的です。
専用ソフトは帳票に強い一方で、期限の通知や複数人での共有は製品によって差が大きいためです。
この記事では、専用ソフト3製品の料金と帳票、汎用ツールとの役割の分け方、更新期限を落とさない仕組みの作り方を整理します。料金・仕様は2026年9月時点の公式情報です。
なお、この記事が扱うのは「受任から報酬の入金までを1つの案件として追う仕組み」と、案件が終わった後も続く許認可の期限の管理です。作業単位のタスク管理とは分けて考えます。
- 行政書士向けの専用ソフト3製品の料金・帳票・更新の状況
- 専用ソフトと汎用ツールに任せる役割の分け方
- 更新期限を落とさない、着手日と許認可台帳の作り方
- 事務所の人数ごとのツールの組み合わせ
行政書士の業務ソフトの早見表
まず、ツールに任せたい機能を5つに分け、どのタイプが得意かを表にまとめます。専用ソフトは帳票と事件簿に強く、汎用ツールは期限の通知と共有に強い、というのが全体の傾向です。
| 任せたい機能 | 行政書士向けの専用ソフト | ノーコードの業務アプリ | 表計算とカレンダー |
|---|---|---|---|
| 案件の一覧と進み具合 | 製品による | 項目を自由に設計できる | 件数が増えると見づらい |
| 期限の通知 | 製品による | 日付の項目を基準に通知できる | カレンダーに手で登録する |
| 顧客と書類の紐づけ | 得意 | 設計しだいで対応できる | 散らばりやすい |
| 見積書・請求書・領収証 | 得意(行政書士向けの書式あり) | 書式を自分で作る | 別のソフトが必要 |
| 自分以外との共有 | 製品による | 得意 | 得意 |
| 導入の手間 | 軽い | 設計と設定に時間がかかる | 最も軽い |
| 費用 | 無料から5万円台の購入まで | kintoneは10ユーザー分で月1万円から | 無料から |

1つのツールですべてを済ませようとせず、専用ソフトと汎用ツールを組み合わせて使う前提で選ぶと失敗が減ります。

専用ソフトとして、この記事では次の3製品を紹介します。
| 製品 | 提供元 | 料金 | 主な帳票 | 公式の最新の更新 |
|---|---|---|---|---|
| 行政書士事件簿作成システム | 株式会社ワイズ | 無料(行政書士会の会員向けに配布) | 事件簿・見積書・請求書・領収証 | 起動時に更新を通知 |
| 侍Ver.3 | 株式会社クリックス | 55,000円(税込) | 受託事件簿・見積書・請求書・領収書・督促状など40種以上 | 2023年9月(インボイスの登録番号に対応) |
| 俺の事件簿 | TT | 49,500円(税込・買い切り) | 事件簿・見積書・請求書・領収証・委任状・送付状など | 2023年9月(インボイス対応版) |
どの専用ソフトも、まず無料版や体験版を自分のパソコンに入れて、事件簿と請求書を1件作ってみてください。帳票の形と、今のWindowsで問題なく動くかを同時に確かめられます。
案件管理が他の業種と違うところ
一般的な案件管理やプロジェクト管理の考え方が、行政書士の業務にそのまま当てはまらない理由は3つあります。
- 期限が法令で決まっている:多くの許認可には有効期間があり、期限を落とすと顧客の事業そのものが止まります。
- 案件の期間が長く、途中で止まる:書類待ちや審査待ちで数か月動かない案件が、常に10件、20件と並行します。
- ひとりで回す事務所が多い:所長の頭の中や手帳だけで業務が回り、仕組みにする動機が生まれにくくなります。
建設業許可、産業廃棄物処理業、宅地建物取引業、在留資格などの許認可には有効期間があり、更新の申請期間も決まっています。建設業許可は有効期間が5年で、満了の30日前までに更新を申請します。
宅地建物取引業の免許も有効期間は5年で、満了の90日前から30日前までに更新を申請します。営業の見込み案件を逃すのとは、重みが違います。
止まった案件が並ぶと、進み具合の一覧がなければ「どれが自分待ちで、どれが顧客や役所待ちか」が分からなくなります。また、ひとりの事務所では、所長が体調を崩したときに代わりに業務を進められる人がいません。
特に気をつけたいのは、更新期限が来るのが「案件が終わった後」であることです。進行中の案件だけを管理していても、数年先の更新期限は拾えません。
そのため、1人の事務所ほど、自分以外が期限を確かめられる状態が必要です。
専用ソフトはあるが定番はない
まず、行政書士向けのソフトの実情を押さえておきましょう。これを知っておくと、選ぶときに何を確かめればよいかが見えてきます。
大手のソフト会社の製品が少ない
行政書士の業務は範囲が広く、扱う許認可の種類も多いため、業務を定型化しにくい分野です。事務所も小規模なところが多く、市場はそれほど大きくありません。
その結果、税理士や司法書士の分野のような、大手のソフト会社の定番製品は見当たりません。
行政書士や小さな会社が作っている
今手に入る専用ソフトは、次のような成り立ちのものが中心です。
- 現職の行政書士が、自分の事務所用に作って公開したもの
- 小さなソフト会社が、建設業許可などの申請書ソフトから領域を広げたもの
- 行政書士会の会員向けに無料で配られているもの
- 帳票づくりを主な目的にしたExcelのひな形
これらには、現場で必要な機能に絞られているという共通の利点があります。一般的な顧客管理ソフト(CRM)では、顧客マスタの登録など複数の手順を踏まないと書類を出せないことがあります。
行政書士向けのソフトなら、顧客名と住所を入れるだけで、行政書士向けの書式の請求書や領収証を出せるものが多くあります。実務を知る人が自分で使うために作っているからこその強みです。
更新が止まっている製品もある
注意したいのは、開発や更新が止まっているソフトや、対応OSの記載が古いままの製品が少なくないことです。
この記事で紹介する侍Ver.3と俺の事件簿も、公式サイトで確かめられる最新の更新は2023年9月(インボイス制度への対応)です。
当社がこの記事のために調べた際も、提供が終わっているものや、Windows 11での動作が確かめられないものがあり、掲載を見送りました。
紹介記事や比較サイトに載っていても、情報が古いことがあります。製品名を見つけたら、公式サイトで更新履歴と動作環境を確かめてください。
契約前に確かめること
専用ソフトを入れる前に、次の5つを確かめてください。
| 確かめること | 確かめ方 |
|---|---|
| 更新が続いているか | 公式サイトのお知らせや更新履歴の日付を見る。止まっていれば、下の4つをより慎重に確かめる |
| 今のWindowsで動くか | 動作環境の記載を見る。記載がWindows 10までなら、体験版を入れて動くか試す |
| データを書き出せるか | CSVなどで書き出せるかを見る。書き出せないと、乗り換えるときに打ち直しになる |
| 提供元が分かるか | 会社概要や特定商取引法に基づく表記を見る |
| 事件簿の記載事項を満たすか | 事件の名称・年月日・受けた報酬の額・依頼者の住所氏名と、都道府県知事が定める事項を入れられるかを見る |
行政書士法第9条では、業務に関する帳簿(事件簿)を備え、事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名などを記載することが決められています。帳簿は関係書類とともに、帳簿を閉じた時から2年間保存しなければなりません。
製品に「事件簿対応」と書かれていても、記載事項を満たしているかの責任は事務所にあります。都道府県知事が定める事項も含めて、自分で確かめてください。
「無料だから」「安いから」という理由だけで選ぶと、数年後に動かなくなったときに困ります。先に挙げた5つを、紹介する3製品にも当てはめて確かめてください。
行政書士向けの専用ソフトを比べる
ここでは、2026年9月時点で提供を確かめられた専用ソフトを3つ紹介します。どれもパソコンに入れて使うインストール型で、帳票づくりと事件簿の管理が中心です。
帳票づくりと事件簿の管理は、3製品とも実務で使える水準で、汎用ツールでは簡単に置き換えられない強みです。
一方で、3製品ともパソコンに入れて使うタイプで、外出先からの確認や複数人での同時の編集には向きません。
許認可の更新期限を追いかける機能も、どの製品も主な機能としては案内していないため、期限の管理は別のツールを用意する前提で考えてください。
行政書士事件簿作成システム
- 料金
- 無料(行政書士会の会員向けに配布と紹介されている)
- 無料お試し
- はじめから無料で使える
- 帳票
- 事件簿、見積書、請求書、領収証
- 向いている会社
- 開業したばかりで、費用をかけずに事件簿を始めたい事務所
株式会社ワイズが提供する、行政書士向けの事件簿ソフトです。事件簿を登録すると、見積書・請求書・領収証の作成から、入金や売上の管理までを一続きで行えます。
公式サイトに料金の記載はありませんが、日本行政書士会連合会の会員サイトから無料で入手できると、利用している行政書士が紹介しています。開業したばかりで、費用をかけずに試したい事務所に向いています。
パソコンに入れて使うソフトで、データは初期設定では「ドキュメント」フォルダに保存されます。クラウドのサービスではないため、外出先のスマホからは見られず、バックアップも自分で取る必要があります。
データのフォルダを、別のドライブや法人向けのクラウドストレージに定期的に写しておくと安心です。
共有フォルダにデータを置けば、複数のパソコンで使えます。ただし公式のFAQでは、同時に編集するとデータが壊れるおそれがあるとしています。
行政書士事件簿作成システム 製品FAQ(wise.co.jp)
報酬管理システム『侍』
- 料金
- 55,000円(税込)
- 無料お試し
- 無料体験版あり
- 帳票
- 受託事件簿・見積書・請求書・領収書・督促状・未入金一覧表など40種以上
- 向いている会社
- 請求と入金の管理まで1つのソフトで行いたい事務所
株式会社クリックスの報酬管理システムで、今の版は侍Ver.3です。顧客管理に加えて、見積書から領収書までの請求の管理を1つのソフトで行えます。
帳票は40種以上あり、日本行政書士会の様式に合わせた請求書・領収書・見積書を出せます。受託事件簿のほか、督促状、入金一覧表、未完了一覧表、未請求一覧表、未入金一覧表などの管理用の帳票もそろっています。
未請求・未入金の一覧を出せるため、報酬の請求漏れや回収漏れを防ぎたい事務所に向いています。
対応する書式は官報の様式で、ほかの県別の様式などは別料金での対応です。クリックスは、建設業許可・宅建業・産廃収集の申請書ソフトも出している会社です。
公式の更新履歴では、最新の更新は2023年9月で、入金領収書にインボイスの登録番号を出す機能が加わりました。
俺の事件簿
- 料金
- 49,500円(税込・買い切り)。アンケートへの協力で3,300円引き
- 無料お試し
- 30日間の無料試用
- 帳票
- 事件簿、見積書、請求書、領収証、委任状、送付状、案件票など
- 向いている会社
- 行政書士が作った書式をそのまま使いたい、1人〜少人数の事務所
「行政書士が行政書士のために作った」顧客管理ソフトで、開発者の事務所でも実際に使われています。事件簿は、行政書士法で保存が義務づけられた帳簿の要件を満たすものとして作られています。
出せる書類は、請求書・見積書・領収証のほか、委任状、案件票、送付状、FAX送付状、ラベルシール、はがきなどです。進行中の案件の一覧や、受注高・売上高の一覧も出せます。
料金は49,500円(税込)の買い切りで、30日間は無料で試せます。複数のパソコンで事件簿のデータを共有する機能は別売りなので、2人以上で使うなら先に確かめてください。
公式サイトの更新情報では、最新は2023年9月で、インボイス対応版の公開と、その後の不具合の修正です。
期限と進捗を管理するツール
期限と進み具合の管理は、専用ソフトの外に出すと仕組みを作りやすくなります。期限の通知と、自分以外の人との共有は、汎用ツールのほうが得意だからです。
ここでは、費用をかけずに始められるGoogleカレンダーと、項目を自由に設計できるkintoneを紹介します。作業単位のタスク管理ツールは、次の記事で比べています。

Googleカレンダーと表計算
- 料金
- 個人のGoogleアカウントなら無料
- 無料お試し
- アカウントを作ればすぐ使える
- 期限の通知
- 予定ごとに通知を追加できる(メール・デスクトップ通知など)
- 向いている会社
- 案件がまだ少ない、1人の事務所
案件の一覧はExcelやGoogleスプレッドシートで作り、更新の着手日と申請期限をGoogleカレンダーの予定として入れる方法です。1つの予定に通知を複数付けられるため、段階を分けた通知を費用をかけずに作れます。
今日からすぐに始められ、案件が少ないうちはこの運用で十分に回ります。
ただし、案件が増えると限界が来ます。一覧表が長くなって見づらくなり、期限の確認やカレンダーへの登録が手作業のため、どこかで登録漏れが起きます。
Googleカレンダー 公式ヘルプ(support.google.com)
kintone
- 料金
- ライトコース1ユーザー月額1,000円、スタンダードコース1,800円(税抜・どちらも10ユーザーから)
- 無料お試し
- 30日間
- 期限の通知
- 日付の項目を基準に「何日前の何時」と通知できる
- 向いている会社
- 2人以上で案件と許認可台帳を共有したい事務所
kintone(キントーン)は、サイボウズの業務アプリ作成サービスです。案件の管理項目も許認可台帳も、事務所の業務の流れに合わせて自由に作れます。
「リマインダーの条件通知」を使えば、有効期限や着手日の項目を基準に、その何日前の何時に通知するかを決められます。
一方で、最低契約が10ユーザーからのため、1〜5人の事務所でも月額1万円(税抜・ライトコース)以上かかります。アプリの設計や初期設定にも時間がかかり、事件簿や委任状などの書式も自分で作る必要があります。
人数の少ない事務所では、費用と設計の手間に見合うかを、30日間の無料お試しで確かめてから決めてください。
kintone 公式サイト(kintone.cybozu.co.jp)
更新期限を落とさない設計
ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。期限の管理がうまくいくかは、使う道具よりも仕組みの設計で決まります。
期限日ではなく着手日を管理する
有効期限の日付だけを登録して、その当日に通知が来ても間に合いません。許認可には更新の申請期限があり、顧客から書類を集める時間も必要だからです。
登録しておくべきなのは「業務に着手する日」です。有効期限から逆算した着手予定日を、有効期限とは別の項目で持っておきます。
たとえば建設業許可なら、申請の期限は満了の30日前です。そこから書類集めの期間をさかのぼり、満了の3か月前を着手日にする、といった決め方をします。

有効期限と着手日を別の項目に分けるだけで、「気づいたときには申請期限が過ぎていた」という落とし方を防げます。
通知を一回で終わらせない
通知が1回だけだと、メールの見落としで聞き流してしまうおそれがあります。通知は着手日と申請期限の両方を基準に、段階を分けて設定してください。
設定の例は次のとおりです。
| 通知のタイミング | その時にすること |
|---|---|
| 着手日の1週間前 | 顧客への連絡と、必要書類の案内を準備する |
| 着手日 | 顧客に連絡し、書類集めを始める |
| 申請期限の2週間前 | 書類がそろっているかを確かめる |
| 申請期限の3日前 | 申請が済んでいない案件を洗い出す |
有効期限を基準に「2週間前」と通知すると、建設業許可や宅建業の免許では、満了の30日前までという申請期限を過ぎてしまいます。基準にするのは、許認可ごとの申請期限です。
通知先を、自分のスマホや個人のメールアドレスだけにするのも危険です。事務所の代表アドレスや、共有のカレンダーにも通知が届くようにしておきます。
案件が終わっても許認可は残る
受任した案件が終わっても、その許認可は5年後などにまた更新の時期を迎えます。進行中の案件の一覧とは別に、顧客が持つ許認可をまとめた「許認可台帳」を作ってください。
古物商の許可のように有効期間のない許認可も、同じ台帳に記録しておきます。役員の変更や営業所の移転などで届出が必要になったとき、すぐに情報を引けるためです。

許認可台帳の記入例は次のとおりです。
| 顧客名 | 許認可の種類 | 許可番号 | 有効期限 | 申請期限 | 着手日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 〇〇建設 | 建設業許可(知事・一般) | 〇〇県知事 許可(般)第〇〇号 | 2027年4月30日 | 2027年3月31日まで | 2027年1月31日 |
| △△不動産 | 宅地建物取引業免許 | 〇〇県知事(2)第〇〇号 | 2028年2月14日 | 2027年11月16日から2028年1月15日まで | 2027年10月15日 |
| □□商店 | 古物商許可 | 第〇〇号 | なし | ― | ― |
台帳の着手日と今日の日付を毎日突き合わせ、近いものだけを知らせる処理は、AIを使わなくても自動化できます。考え方は期限チェックを自動化する設計で解説しています。
自分以外が見られる場所に置く
1人の事務所でも、この原則は変わりません。病気や事故で動けなくなったときでも、第三者が更新期限を確かめられる状態にしておくことが、事務所と顧客を守る備えになります。
共有する相手は、家族や外部のオンラインアシスタントでもかまいません。ただし行政書士には、業務上知り得た秘密を守る義務(行政書士法第12条)があります。
家族などに共有するときは、顧客名と期限の一覧に絞るなど、見せる範囲を決めておきましょう。
書類作成と請求をどこで行うか
案件管理と並んで迷いやすいのが、申請書と請求書をどのソフトで作るかです。ここを決めておくと、二重入力が減ります。
申請書は許認可ごとのソフトで作る
案件管理のソフトとは別に、申請書そのものを作る書類作成ソフトもあります。申請書の様式は許認可ごとに違うため、書類作成ソフトは業務ごとに選ぶのが基本です。
たとえば建設業許可では、次のようなソフトがあります。
- クリックスの【建設業】シリーズ:書類作成・財務諸表・経審の分析を1つで行う.NET版のほか、クラウド版と月額払いのサブスク版がある
- ワイズのWisdom 建設業許可申請書類作成システム:許可申請書類一式に加え、決算変更届(財務諸表を含む)なども作れる
申請書のソフトと案件管理のソフトが別々の場合は、顧客情報をどちらで持つかを先に決めておくと、同じ内容の打ち直しを減らせます。
請求書は一か所で発行する
案件管理と請求書の発行を一体にすると、二重入力の手間を減らせます。専用ソフトの多くは、この2つが一体になっています。
一方で、クラウド会計ソフトにも請求書を作る機能があります。両方で請求書を出すと、どちらのデータが正しいのかが分からなくなります。
判断の基準は、請求のデータを何と結びつけたいかです。
- 受託事件簿と請求を結びつけて管理したいなら、専用ソフトで発行する
- 売上の集計や入金の消し込みを会計とまとめたいなら、会計ソフトで発行する
行政書士事務所で使うクラウド会計ソフトは、freee・マネーフォワード・弥生を次の記事で比べています。

事務所の規模で変わる組み合わせ
人数によって、必要な共有の範囲と費用のかけ方が変わります。目安は次のとおりです。
| 規模 | 帳票・事件簿 | 期限・進み具合 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 1人 | 専用ソフト(まずは無料版や体験版) | Googleカレンダーと表計算 | 自分以外が期限を見られる場所に置く |
| 2〜5人 | 専用ソフト(複数台での共有の方法を確かめる) | 共有のカレンダー、またはkintone(10ユーザー分の費用) | 誰がどの案件を持ち、どこまで進んだかを全員が見られるようにする |
| 6人以上 | 専用ソフト、またはkintoneで作る | kintone | 閲覧・編集の権限と、退職時のアカウントの停止 |
表の内容を、人数ごとに補足します。
- ひとりの事務所:帳票と事件簿は専用ソフト、期限の管理はGoogleカレンダーなどの汎用ツールで十分です。
- 数人で回す事務所:誰がどの案件を担当し、今どこまで進んでいるかが全員に見える状態を作ります。
- 職員が多い事務所:共有に加えて、誰がどのデータを見られ、直せるかという権限の管理が必要です。
ひとりの事務所は、最初から作り込まず、費用をかけずに始めましょう。案件数が増えてきた段階で、仕組みを見直せば十分です。
数人で専用ソフトを使うなら、複数台での共有の方法を先に確かめてください。俺の事件簿は複数台での共有が別売りで、行政書士事件簿作成システムは共有フォルダで使えるものの、同時の編集は避けるよう案内されています。
kintoneは10ユーザーからの契約のため、5人の事務所でも10人分の費用がかかる前提で比べてください。職員が多い事務所では、職員が退職したときにアカウントをすぐ止められる体制も欠かせません。
人数が増えるほど、共有の仕組みと権限の管理に費用と手間をかける必要があります。顧客の大切な情報を扱う事務所として、IT担当がいない会社のセキュリティ対策も合わせて確かめておきましょう。
まとめ
- 行政書士の業務ソフトに定番はない。専用ソフトには帳票と事件簿、汎用ツールには期限と共有を任せる
- 更新期限は、有効期限ではなく申請期限から逆算した着手日で管理し、通知は段階を分ける
- 案件の一覧とは別に許認可台帳を作り、自分以外も見られる場所に置く
定番のソフトがないことは、管理ができないということではありません。必要な機能を分けて考えれば、今手に入るツールの組み合わせで、期限を落とさない仕組みを作れます。
まずは、今抱えている受任案件と、顧客の許認可の有効期限をすべて書き出して一覧にするところから始めてください。ツールを選ぶのは、その後でも間に合います。


