不動産業務支援システム比較|AI活用で反響対応・追客を自動化

不動産会社の数は増え続けています。国土交通省によると、宅地建物取引業者は2025年3月末で132,291業者となり、11年連続で増えています。

一方で、人手不足を課題に挙げる会社は少なくありません。反響への返信、物件の入力、追客、オーナーへの報告といった業務に、担当者の時間が取られています。

こうした業務にもAIが入り始めており、2025年12月には、いえらぶCLOUDとカナリークラウドがAIエージェント機能の提供を始めました。

本記事では、不動産業務支援システムの主要4製品を、AI連携の観点で比べます。

  • いえらぶCLOUD
  • ITANDI 賃貸仲介(旧ノマドクラウド)
  • 賃貸革命11
  • カナリークラウド

製品の情報は、2026年9月時点で各社が公表している内容に基づいています。

この記事で分かること
  • 不動産業務支援システム主要4製品の特徴と違い
  • 各製品に組み込まれた最新のAI機能
  • 外部のAIとつなぐときの現実的な方法
  • 業態と規模に合う製品の組み合わせ

目次

結論:主力の業務で選ぶ製品が変わる

先に結論をお伝えします。4製品は得意な業務がはっきり分かれているので、自社の主力業務から選ぶと大きく外しません。

主力の業務第一候補選ぶ理由
賃貸仲介(反響対応・追客を自動化したい)ITANDI 賃貸仲介反響の取り込み、自動物件提案、自動追客がそろう
賃貸仲介(少人数で始めたい)カナリークラウド仲介業務に絞った作りで、AIによる返信文の生成などを使える
売買仲介、または売買・賃貸の両方いえらぶCLOUD物件管理から集客・追客・ホームページまで1つで扱える
賃貸管理(家賃管理・オーナー送金)賃貸革命11賃貸管理に特化し、入金明細の自動取得にも対応

AI連携で押さえておきたい点も、先に挙げます。

  • 製品に組み込まれたAI機能は、2025年後半から大きく増えました。
  • 外部のAI(ChatGPT、Claudeなど)と自由につなぐ公開APIは、4製品とも公式サイトで確認できません。
  • 外部のAIを使うなら、公式の連携機能やCSV、通知メールを経由し、業務システムの外側で組むのが現実的です。

最終的には、3社ほどに資料請求とオンラインデモを依頼し、自社の業務の流れに沿って操作を確かめるのが確実です。

久野

機能の多さより、自社の主力業務に合うかを先に決めてください。外部のAIとつなぐ場合も、業務システムの外側で組んでおくと、入れ替えたときに困りません。


不動産業務支援システムとは?

不動産業務支援システムは、物件管理、顧客管理、契約、管理業務をまとめて扱うソフトで、「不動産業務管理システム」とも呼ばれます。扱う業務の範囲によって、大きく4つの種類に分かれます。

種類主な機能本記事で取り上げる製品
総合型物件管理、ポータル連動、顧客管理、管理業務、ホームページいえらぶCLOUD
賃貸仲介の顧客管理(CRM)型反響の取り込み、物件提案、追客、来店予約ITANDI 賃貸仲介、カナリークラウド
賃貸管理型契約管理、家賃管理、修繕、オーナー送金賃貸革命11
売買仲介型査定、物件提案、長期の追客本記事では総合型のいえらぶCLOUDで扱う

仲介の業務の流れ

AIがどこに効くかを考えるうえで、まず仲介の業務の流れを確認しておきます。不動産取引では、売主・貸主から依頼を受ける「元付業者」と、買主・借主に物件を紹介する「客付業者」が連携します。なお、1社で両方を担う「両手仲介」もあります。

賃貸仲介:媒介契約
→ 物件登録・募集
→ 反響対応
→ 物件紹介・追客
→ 内見・案内
→ 申込・審査
→ 賃貸借契約・重要事項説明

売買仲介:査定・媒介契約
→ 販売活動
→ 反響・ヒアリング
→ 物件提案・内見
→ 申込・条件交渉
→ 重要事項説明・売買契約
→ 決済・引渡し

賃貸管理では、このほかにも家賃の集金、退去精算、修繕、契約更新、オーナーへの月次報告など、毎月の業務が続きます。

物件情報が流れる場所:レインズとATBB

物件情報は、主に2つの業者間サイトで流通しています。

レインズ(REINS)
国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営するシステムです。専属専任媒介・専任媒介の契約を結んだ物件は、宅建業法第34条の2により登録が義務づけられています。会員は2025年末で148,841会員(4機構の合計)です。

ATBB(アットビービー)
アットホーム株式会社が運営する、加盟・利用店向けの業者間サイトで、物件情報の登録・公開や、販売図面などの資料の入手に使います。アットホームの加盟・利用店は、全国で63,000店以上です(2025年12月1日現在)。

レインズが「物件を見つける場所」だとすれば、ATBBは「見つけた物件の販売資料を入手する場所」です。

不動産会社の店頭で物件情報の掲示を見る女性

AIが効く不動産の業務と課題

不動産会社が日々抱える課題は、おおむね6つにまとまるので、課題ごとにAIでできることを表にしました。

業務課題AIでできること
反響対応夜間・休日の問い合わせへの返信が遅れ、来店につながりにくい24時間の一次返信、希望条件の聞き取り、次の対応の提案
物件入力同じ物件を、ポータルサイトや自社サイトごとに入力する写真からの紹介文の生成、複数媒体への一括展開、広告表現の確認
追客売買では検討期間が長く、担当者が辞めると関係が途切れる検討段階に合わせた自動メッセージ、閲覧履歴を踏まえた連絡のタイミング
契約書類物件ごとに法令・条例・登記の確認が要るひな形への自動入力、確認項目の一覧化、過去の契約との差分確認
オーナー報告入金・修繕・空室の状況を、オーナーごとの形式でまとめる月次の収支の要約、オーナーごとの形式の自動適用
人手不足ベテランの経験が新人に伝わらない応対のひな形、過去の対応をもとにした提案文の生成

反響対応は返信の早さが来店に影響するため、夜間・休日の問い合わせや担当者の不在時の対応漏れは、機会損失の典型です。

物件入力は、SUUMO、LIFULL HOME’S、アットホーム、自社サイト、Instagramなど、媒体ごとの形式に合わせる必要があります。掲載先が増えるほど、その分だけ手間も増えます。

追客は、特に売買仲介で長期化しやすく、購入の検討から成約までが数か月から2年に及ぶこともあります。メール、LINE、電話と連絡手段も分かれるため、担当者に依存しやすい業務です。

契約書類は、電子契約に移っても作成の手間が残るうえ、宅建業法上のミスは大きなリスクになります。電子契約サービスの違いは、中小企業の電子契約サービスの比較で整理しています。

住宅模型と図面を前に打ち合わせをする担当者と顧客

主要製品の特徴と最新のAI機能

ここから4製品を順に紹介しますが、まずは違いを表にまとめます。

スクロールできます
項目いえらぶCLOUDITANDI 賃貸仲介賃貸革命11カナリークラウド
提供企業いえらぶGROUPイタンジ(GA technologiesグループ)日本情報クリエイトカナリー
種類総合型賃貸仲介のCRM賃貸管理仲介のCRM
導入実績(公表)17,000社以上イタンジのサービス全体で4,000社超「賃貸管理システム導入実績No.1」と表記公式サイトで確認できず
料金要問い合わせ(比較サイトの掲載は月5万円〜・税別)要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
主なAI機能AIエージェント(LINEで来店予約まで)、AIコンテンツ生成、AI間取りAIチャット、自動物件提案、自動追客AI OCR(修繕見積書の読み取り)AIエージェント4種、返信文の生成、マイソクの読み取り
顧客とのLINE連携ありあり公式サイトで確認できずあり
向いている会社賃貸・売買・管理を幅広く扱う賃貸仲介が中心賃貸管理が中心中小〜中堅の仲介

いえらぶCLOUD

料金
要問い合わせ(比較サイト掲載は月5万円〜)
種類
総合型
主なAI機能
AIエージェント、コンテンツ生成、AI間取り
向いている会社
賃貸・売買・管理を幅広く扱う
LINEで来店予約までAI間取りポータル連動17,000社以上が導入

提供は株式会社いえらぶGROUP(2008年設立)で、全国の不動産会社17,000社以上が導入しています(2025年12月の同社発表)。

物件管理、ポータルサイト連動、賃貸管理、集客、追客、ホームページ制作までを1つで扱う総合型で、2025年以降はAI機能も増えています。

  • いえらぶAIエージェント:LINEでの初期対応から来店予約の日程調整までを、AIが進めます。
  • AIコンテンツ生成:不動産向けのブログ記事を、生成AIで作成します。
  • いえらぶAI間取り:間取りの画像をAIが読み取り、間取り図を自動で作ります。

料金は公式サイトでは要問い合わせですが、比較サイトのASPICでは、プレミアムプランが月額5万円〜(税別)と掲載されています。賃貸管理向けの「らくらく賃貸管理(らくちん)」も、単独で提供されています。

ITANDI 賃貸仲介

料金
要問い合わせ
種類
賃貸仲介のCRM
主なAI機能
AIチャット、自動物件提案、自動追客
向いている会社
賃貸仲介が中心
反響の取り込み自動追客ITANDI BBと連携LINE連携

提供はイタンジ株式会社(GA technologiesグループ)で、旧名称は「ノマドクラウド」です。イタンジのサービス全体では、4,000社を超える不動産会社が利用しています(2025年4月末時点)。

賃貸仲介に特化した、顧客管理と追客のシステムです。公式サイトでは、主な機能として次を挙げています。

  • 反響の取り込み
  • 自動物件提案メッセージ、自動追客メッセージ
  • AIチャット、LINE連携
  • データ分析、売上管理

反響の取り込み先は、比較サイトのASPICで「25以上のポータルサイト」と紹介されています。業者間サイトのITANDI BBと組み合わせれば、入居希望者の問い合わせに、空室情報や来店予約カレンダーを自動で返信できます。料金は要問い合わせです。

賃貸革命11

料金
要問い合わせ
種類
賃貸管理
主なAI機能
AI OCR(修繕見積書の読み取り)
向いている会社
賃貸管理が中心
オーナー送金入金明細の自動取得業務通知Excel一括取込

提供は日本情報クリエイト株式会社で、公式サイトでは「賃貸管理システム導入実績No.1」と表記しています。

物件管理、契約管理、家賃管理、修繕管理、オーナー送金を一元化する賃貸管理のシステムで、クラウドにも対応しています。

2025年8月1日に、約8年ぶりの新版として賃貸革命11が出ました。主な追加は次のとおりです。

  • AI OCR:修繕業者の見積書をPDFで取り込み、入力を簡略化します。
  • 業務通知:更新費用の請求忘れや入居申込を、自動で通知します。
  • Excel一括取込:物件・部屋・契約の情報を、まとめて登録できます。

2025年12月には、マネーツリーの「Moneytree LINK」と連携しました。銀行の入金明細を自動で取得できるので、家賃の消し込みの手入力を減らせます。料金は要問い合わせです。

カナリークラウド

料金
要問い合わせ
種類
仲介のCRM
主なAI機能
AIエージェント4種、返信文の生成
向いている会社
中小〜中堅の仲介
メール・SMS・LINE返信文の生成マイソクの読み取りカイクラと連携

提供は株式会社カナリー(2018年設立)です。仲介業務に特化した顧客管理システムで、メール・SMS・LINEのやり取りを顧客ごとにまとめて扱えます。

AI機能は次のとおりです。

  • 返信文の生成:顧客のメッセージを選ぶと、ワンクリックで返信文を作ります。
  • 対応のフィードバック:やり取りを分析し、良い点と改善点を示します。
  • マイソクの読み取り:マイソクの画像を読み込み、初期費用を計算します。
  • AIエージェント:一括更新、物件確認、返信の作成、対応のフィードバックの4種類です。

2026年4月には、電話の対応を記録するAIツール「カイクラ」と連携し、通話の要約がメール・SMS・LINEの履歴と一緒に残るようになりました。料金は要問い合わせです。


AI連携の観点で比べる

本記事では、AIでどこまで業務を自動化できるかを、次の3つの観点で比べます。

  • 製品に組み込まれたAI機能
  • 外部のAIや業務チャットとの連携
  • 自動化できる業務の範囲

内蔵のAI機能を比べる

2025年後半から、各社のAI機能は「文章を作る」段階から「対応を任せる」段階に進んでいます。

いえらぶCLOUD
LINEでの顧客対応を深く自動化しており、AIエージェントが顧客とやり取りして来店予約の確定まで進めます。物件紹介文やブログ記事の生成など、機能の幅が広いのも特徴です。

ITANDI 賃貸仲介
反響の取り込みから物件提案、追客までの自動化に強みがあり、ITANDI BBと組み合わせると、空室確認への返信も自動化できます。

カナリークラウド
担当者の作業を支えるAIが中心で、返信文の作成やステータスの更新はAIが提案し、担当者が確かめて反映します。同社は今後、顧客と直接やり取りするAIエージェントにも広げるとしています。

賃貸革命11
AI機能は、見積書のAI OCRが中心なので、反響対応や追客を自動化したい場合は、仲介向けのシステムや外部のツールと組み合わせる必要があります。

AI機能は各社とも更新が早い分野なので、デモではその時点の最新の機能を見せてもらいましょう。

外部のAI・チャットとの連携

外部のAIや業務チャットとつなげるかどうかは、将来の拡張性を左右します。ここでいう外部のAIとは、ChatGPTやClaude、自社で作るAIエージェントなどです。

利用者が自由に使える公開APIの仕様は、4製品とも公式サイトで確認できませんでした。外部との連携は、ベンダー同士の公式連携が中心です。

  • いえらぶCLOUD
    AIで電話の対応をまとめる「カイクラ」との連携開発を発表しています。
  • ITANDI 賃貸仲介
    同じイタンジの業者間サイト、ITANDI BBと連携します。
  • 賃貸革命11
    Moneytree LINKと連携し、入金明細を自動で取り込みます。
  • カナリークラウド
    カイクラと連携し、通話の記録を顧客情報にまとめます。

自社で外部のAIをつなぐ場合は、CSVの書き出し・取り込みや、通知メールを入口にする方法が現実的です。iPaaSは、ノーコードで複数のクラウドサービスをつなぐツールで、通知メールを受けてAIで要約し、業務チャットに流す仕組みを作れます。n8nやZapierなどのツールの違いは、業務自動化ツール(Zapier・Make・n8n)の比較で整理しています。

顧客とのLINE連携は、いえらぶCLOUD、ITANDI 賃貸仲介、カナリークラウドが持っています。一方で、社内連絡に使うLINE WORKSやChatworkとの連携は、公式サイトでは確認できませんでした。社内のチャットツールの選び方は、LINE WORKS・Chatworkの比較をご覧ください。

長い目で見ると、AIエージェントは業務システムの外側で作るのが現実的です。業務システムはデータの置き場所に徹し、AIエージェントは業務チャットやワークフローツールの側に置いておけば、業務システムを入れ替えてもAIの仕組みを使い続けられます。

外部の開発会社に作ってもらう場合は、カスタムAIエージェントの発注先の選び方も参考にしてください。

自動化できる業務の範囲

業務ごとに、各製品を土台にしたAI連携で何ができるかを整理しました。公開情報をもとにした当社の整理なので、導入前にベンダーのデモで必ず確かめてください。

スクロールできます
業務いえらぶCLOUDITANDI 賃貸仲介賃貸革命11カナリークラウド
反響の取り込み・振り分け◯◎△◎
24時間の一次返信◎◎×◯
希望条件の聞き取り◯◎×◯
物件提案の自動化◯◎×◯
顧客の検討状況の分析△◎×◎
来店・内見予約の調整◎◎×◯
契約書のひな形への自動入力◯△◎△
家賃管理・入金消込◯×◎×
オーナー向け月次報告の作成◯×◎×
業務チャットへのAI通知△◯×◯

(◎:標準機能で完結、◯:標準機能と設定・カスタマイズで実現、△:外部との連携が必要、×:難しい)

表から、製品ごとの得意分野が分かれることが分かります。

  • 仲介業務の自動化:ITANDI 賃貸仲介とカナリークラウド
  • LINEでの来店予約までの自動化:いえらぶCLOUD
  • 賃貸管理の業務:賃貸革命11

業態と規模に合わせた組み合わせ

業態と規模ごとに、土台にする製品と、組み合わせるとよいAI連携をまとめました。

想定する会社土台の製品組み合わせるAI連携
賃貸仲介が中心(店舗1〜3、社員5〜15人)ITANDI 賃貸仲介LINE WORKSなど業務チャットへの通知
売買仲介が中心(社員15〜50人)いえらぶCLOUD契約書類の確認支援、長期の追客を外部のAIで補う
賃貸管理が中心(管理戸数100〜500戸)賃貸革命11オーナー向け月次報告の下書き
売買・賃貸の両方(社員10〜30人)いえらぶCLOUD業務チャット側のAIエージェント
立ち上げ期(社員1〜5人)カナリークラウドLINE公式アカウントでの顧客対応

賃貸仲介が中心の会社

反響対応と追客の自動化は、ITANDI 賃貸仲介の得意分野で、ITANDI BBと組み合わせると、空室確認から来店予約までの一次対応を減らせます。さらに業務チャットと連携すれば、社内の情報共有や管理者への通知も円滑になります。

売買仲介が中心の会社

売買仲介は検討期間が長く、契約書類の重みも大きい業態です。そのため、機能の幅が広いいえらぶCLOUDを土台にし、物件紹介文の生成で販売資料づくりの時間を減らします。長期の追客については、閲覧履歴を踏まえた連絡を外部のAIで補う方法があります。

賃貸管理が中心の会社

管理業務は決まった作業の繰り返しが多いため、賃貸革命11の家賃管理が効きます。入金明細の自動取得と組み合わせると、消し込みの手入力を減らせます。月次のオーナー報告は、収支データの要約を外部のAIで下書きすると負担が減ります。

売買・賃貸の両方を扱う会社

業態ごとにシステムを分けると、データの連携が複雑になります。そこで、いえらぶCLOUDの総合型を土台にし、足りない自動化を業務チャット側のAIエージェントで補うのが現実的です。

立ち上げ期の会社

カナリークラウドは仲介業務に絞った作りで、AIによる返信文の生成や対応の振り返りを、少人数の段階から使えます。LINE公式アカウントとつなげば、若い世代の顧客とも接点を持ちやすくなります。導入費用については、補助金の対象になるかも確かめておきましょう。


導入前に確かめておきたいこと

AI連携を見据えてシステムを選ぶときに、見落とされやすい点を3つ補足します。

間取り図を指さしながら相談する担当者と顧客

レインズ・ATBBのデータの扱い

レインズは外部向けの公開APIを提供しておらず、利用できるのは会員の宅建業者に限られ、利用規程でもデータの目的外利用が制限されています。レインズの情報には、宅建業者が業務上知り得た秘密が含まれるためです。ATBBも、アットホームの加盟・利用店向けのサービスです。

そのため、次のような設計は規約違反となるおそれがあります。

  • ATBBから物件情報を自動で取得し、外部に公開する
  • レインズのデータをAIに学習させる

連携は、各システムが提供する公式の連携機能か、自社の業務の範囲内での半自動化にとどめましょう。AI連携を提案するベンダーがこの点を説明しているかどうかも、判断材料になります。

取引価格などの公的なデータを使いたい場合は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」があり、不動産の取引価格や地価公示、防災情報などをAPIで取得できます(利用申請が必要)。

顧客情報をAIに渡す範囲

不動産業務では、年収、勤務先、家族構成など、配慮が必要な顧客情報を扱います。宅建業法は、業者(第45条)と従業者(第75条の3)に守秘義務を課しているうえ、個人情報保護法への対応も必要です。

ChatGPTやClaudeなどのAIで顧客情報を扱う場合は、次の対策を組み合わせます。

  • 入力を学習に使わない法人向けの契約を選ぶ
  • AIに渡す項目を絞り、氏名や連絡先は伏せる
  • データの保管期間を決める
  • 外部に開発を任せる場合は、業務委託契約と秘密保持契約を結ぶ

たとえばAnthropicは、APIなどの商用製品への入力を、既定ではモデルの学習に使わないとしています。社内のルールづくりについては、次の記事で説明しています。

補助金と導入の進め方

IT導入補助金は、2026年から「デジタル化・AI導入補助金」に名前が変わりました。対象はIT導入支援事業者が事務局に登録したITツールなので、検討中の製品が対象かどうかは公募ごとに確認してください。補助率や上限額も申請枠で異なるため、公募要領で確かめておきましょう。

導入は、次の順に進めると定着しやすくなります。

  • 今の業務を洗い出し、時間が掛かっている作業を決める
  • 3社ほどに資料請求とオンラインデモを依頼し、自社の業務の流れで操作を確かめる
  • 反響対応など1つの業務から始め、慣れてから範囲を広げる

システムは使い方が社内に定着するまで時間が掛かるため、導入直後はこれまでのやり方と並行して動かす期間を見込んでおきましょう。

久野

AIに任せる業務は、いきなり広げないでください。反響対応など一つの業務から始めて、慣れてから範囲を広げるほうが、社内に定着しやすくなります。

無料相談

LINEの一次対応やオーナー報告の下書きを、業務システムの外側でAIに任せる仕組みを作れます。当社で無料相談を受けています。

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まとめ

この記事の要点
  1. 仲介の反響対応・追客なら、ITANDI 賃貸仲介かカナリークラウド
  2. 賃貸管理なら賃貸革命11、幅広く扱うならいえらぶCLOUD
  3. 外部のAIは業務システムの外側で組むのが現実的

不動産業務支援システムの選定は、今後5年、10年の業務の土台を決める経営判断です。AI連携の観点を加えると、比べる軸が「機能の多さ」から「どこまで自動化できるか」に変わります。

  • 賃貸仲介の反響対応・追客なら、ITANDI 賃貸仲介かカナリークラウド
  • LINEでの来店予約までの自動化や、売買・賃貸の両方なら、いえらぶCLOUD
  • 賃貸管理の家賃管理・入金確認なら、賃貸革命11
  • 外部のAIは、公式の連携機能やCSV・通知メールを使い、業務システムの外側で組む

今回の4製品に優劣をつけることが目的ではないので、自社の業態、規模、優先したい業務に合わせて選んでください。各製品の機能・料金は変わることがあるので、最終的に決める前に、各社の最新情報を確かめましょう。

どの業務からAIに任せるか迷ったら、面談でお話を伺います。

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この記事を書いた人

1981年生まれ、名古屋出身。株式会社ニューロシンク代表。

2008年に渡独し、ベルリンで約18年間エンジニアとして活動。ドイツの国家資格である職業訓練プログラム「アプリケーション開発専門IT技術者」を修了後、医療系の自社開発企業でデスクトップ・Webアプリケーションの開発に4年間従事しました。2022年からはドイツの大手SIer「Adesso SE」で、フルスタックエンジニアとしてリードポジションを務めました。

2026年に日本へ帰国し、同年9月に株式会社ニューロシンクを設立。愛知・岐阜・三重の町工場を主な対象に、AI導入と業務システムの改善を支援しています。提案だけで終わらせず、工場に足を運んで一緒に手を動かす。そんな現場に立つAIエンジニアでありたいと考えています。

著書「AI時代の海外移住戦略」

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