「社内ルールのような社内の情報を生成AIに質問できるようにしたい」「毎回おなじ資料をコピーして貼り付けている」——生成AIを業務で使い始めた方から、こうした声をよく聞きます。
その悩みは、GoogleのAIノートツール「NotebookLM」をGeminiに連携させることで解消できます。あらかじめ取り込んでおいだ社内資料だけを基にして、Geminiが自社のルールに沿って答えてくれるようになるからです。
この記事では、連携の設定手順をやさしく整理したうえで、当社が実際に架空の会社の規程を使って「連携あり」と「連携なし」でどれだけ回答が変わるのかを検証した結果もあわせてご紹介します。これから社内資料のAI活用を始めたい中小企業の経営者・事務担当者の方に向けた内容です。
NotebookLMとGeminiを連携するメリット
まず、連携の全体像をつかんでおきましょう。
NotebookLMは、ChatGPTやGeminiのように「インターネット全体から答える物知り」ではなく、利用者が読ませた資料だけを情報源にして答える、いわば「あなたの会社のことを詳しく知る専属の担当者」のようなツールです。社内規程やマニュアルを読ませておけば、その中身に限定して回答してくれます。
このNotebookLMのノートブックを、Geminiの入力画面から呼び出せるようにするのが今回の連携です。情報の蓄積はNotebookLM、高度な文章作成や推論はGemini、という役割分担が一つの画面で完結します。
連携の一番のメリットは、回答が自社の事実に基づくものになり、もっともらしい作り話(ハルシネーション)が起きにくくなることです。これは記事後半の検証で、はっきりと差が出ました。
以下は今回の検証で使用したダミーの「経費精算規定」「社内FAQ」です。


NotebookLMとGeminiの連携の手順
では、GeminiとNotebookLMを連携させるための手順を説明します。
Google driveに社内ファイルをまとめる
NotebookLMとGeminiの連携を始める前に、読ませたい社内資料をGoogleドライブにまとめておくと運用が簡単になります。
「社内資料」といったわかりやすい名前のファルダを作成して、規程・マニュアル・FAQといったファイルをアップロードしておきましょう。

なお、一つのノートブックに登録できる資料の数には上限があり、無料プランでは50件、有料プランではさらに多くの資料を登録できます。フォルダの分け方を考えるときの目安にしてください。
NotebookLMからGoogle driveを読み込む
次にNotebookLMから社内ファイルが収められたフォルダを読み込みます。
まず、NotebookLMで新しいノートブックを作り、先ほどのフォルダ内の資料を「ドライブから追加」で登録します。

ここではファイルをアップロードではなく「マイドライブ」から選択することが大切です。アップロードを使うと、ドライブの元ファイルと切り離された独立したファイルとなってしまうため自動更新が効かなくなります。
Geminiからノートブックを選ぶ
次にブラウザでGeminiを開き、入力欄にある「+」ボタンを押し、「その他のアップロード」から「Notebooks」を選びます。

すると自分のノートブックの一覧が出てくるので、社内資料を登録したノートブックを選択します。

入力欄に選んだノートブックの名前が表示されていれば、連携は完了です。この状態で質問すれば、Geminiが社内資料を参照したうえで質問に答えてくれます。

連携ありとなしで回答はどう変わる?
ここからは実際の回答を検証していきます。
今回は架空の会社「株式会社カナデ製作所」の規程とFAQを用意し、まったく同じ3つの質問を「連携なしのGemini」と「連携したGemini」「NotebookLM単体」の3つに投げて回答を比較しました。質問は、一般論では絶対に答えられない、その会社だけの固有のルールにしています。
結果を一覧にまとめると、次のようになりました。○は正解、×は不正解です。
| 質問 | 連携なしGemini | 連携したGemini | NotebookLM |
|---|---|---|---|
| 社内の懇親会費は1人いくらまで? | × 答えられず一般論へ。 「3,000〜5,000円程度のことが多い」 | ○ 正しく5,800円。 超過時の決裁ルールまで補足 | ○ 正しく5,800円。 金額が改定された経緯まで説明 |
| 経費精算に使う社内システムの名前は? | × 「社内限定の情報で確認できない」 | ○ 正しいシステム名を回答。 申請期限もあわせて提示 | ○ 正しいシステム名を回答。 領収書を省略できる条件まで説明 |
| 健康診断はどこで受ける?(答えはFAQの表にだけ記載) | × 実在する別の組織を持ち出して誤答(作り話) | ○ 規程どおりの正しい提携先を回答 | ○ 規程どおりの正しい提携先を回答 |
最初の質問は「社内懇親会費は1人1回いくらまでか」です。連携無しのGeminiは情報が確認できないとしたうえで、「一般的には3,000円〜5,000円程度のことが多い」という一般論で回答しました。一方、NotebookLMと連携したGeminiは5,800円と答えました。
さらにNotebookLMでは「超過分は自己負担だが管理本部長の決裁があれば認められる」「規程改定で5,000円から引き上げられた」といった、資料に書かれた細かいルールまで補足しました。

次の「経費精算に使うシステム名は何か?」でも同じ傾向でした。連携なしのGeminiは「社内限定の情報で確認できない」と答えられず、連携版はシステム名に加えて申請期限や領収書省略のルールまで正しく示しました。
なかでも注目したいのが、いちばん下の健康診断の質問です。この答えはFAQのスプレッドシートにしか書いていません。素のGeminiは「確認できない」と言うどころか、実在する似た名前の健康保険組合をなぜか持ち出し、その組合での予約手順まで、もっともらしく説明してしまいました。これは完全な作り話です。
この健康診断の例が示すのは二つの事実です。一つは、素のAIは知らないことを「知らない」で済ませず、それらしい嘘を自信ありげに作ってしまう場合があること。もう一つは、連携版が文書だけでなくスプレッドシートの中身まで正しく読めていることです。
社内資料を読ませる連携が、なぜ必要なのか。その答えがこの一例に凝縮されています。
資料を更新したら回答も自動で変わる?
社内資料は時おり改定されるのが普通です。規程を修正したのに、AIが古いルールを基に回答をしてしまっては困ります。そこで、ドライブ上の資料を書き換えたとき、AIの回答が自動で変わるかどうかも検証しました。
NotebookLMには、ドライブ上のファイルの変更を取り込む自動同期のしくみがあります。ただし「自動」という言葉から想像する、編集した瞬間にリアルタイムで反映される動きとは少し違いました。
今回の検証では、午前7時にドライブ上の規程の金額を書き換えましたが、ノートブックを開いたまま1時間置いた午前8時の時点では、回答はまだ古い金額のままでした。試しにノートブックを閉じて再度開き直すと、新しい金額に切り替わりました。
つまり、画面を開きっぱなしにしていても自動では切り替わらず、ノートブックを開き直したタイミングで反映される、という結果でした。なお、これはあくまで今回の観察結果であり、もっと長時間放置した場合に反映されるかどうかまでは確認していません。実務では「資料を直したら、ノートブックを一度開き直して最新化する」と覚えておくと確実です。
この自動同期が効くのも、先ほどと同じくGoogleドキュメント・スプレッドシートなどのGoogle純正の形式に限られます。アップロードしたPDFや貼り付けテキストは自動同期されません。
Geminiのドライブ検索との使い分け
Geminiには、NotebookLM連携とは別に、ドライブ全体を検索する機能(@Google ドライブ)もあります。

それなら、わざわざNotebookLMを使わなくても、ドライブ全体を探させればいいのでは?と思う方もいるでしょう。今回は両者の特徴の違いを確かめるため、こちらも検証しました。
検証では、架空の会社「株式会社ソラ物流」のドライブに以下の3つのファイルをアップロードしました。
- 現行の正しい規程(懇親会費6,200円)
- 失効した古い規程(4,500円)
- 無関係だが「懇親会」という言葉を含む福利厚生ガイド(旅行時の補助3,000円)

NotebookLM連携には現行版だけを登録し、@ドライブには3つのファイルすべてが見える状態で、「株式会社ソラ物流の社内懇親会費の負担上限額はいくらですか?」という同じ質問を投げました。

結果は、どちらも正しく6,200円と答えました。とくに@ドライブは、古い版の4,500円を誤って拾うことなく、むしろ「以前は4,500円だったが改定で6,200円になった」と履歴まで正しく補足し、無関係な福利厚生ガイドの3,000円にも引っぱられませんでした。最近のGeminiは、ファイル名や文脈から新旧をかなり賢く判断できるようです。
では、両者に違いはないのでしょうか。回答の正しさという点では、今回は差が出ませんでした。違いは、もっと根本的なところにあります。NotebookLM連携は「自分が選んだ資料だけ」を見ているので、何を根拠に答えたかが明確で、結果は安定して再現できます。一方@ドライブは「ドライブ全体」を見ているため、どの資料を拾うかはその時々のAIの判断に委ねられ、ファイルが増えれば古い版や無関係な資料に回答が影響されることがあります。
ここでは以下のように使い分けることをお奨めします。
手っ取り早く見つけたい場面
(例)日々の探し物や下調べ
⇨ @ドライブ
答えがぶれてはいけない場面
(例)社内ルールに基づいて回答や文書を作る
⇨ NotebookLM連携
まとめ
NotebookLMとGeminiの連携は、「自社の資料を基に根拠のある回答をするAI」を持つための、手軽で効果的な第一歩です。
今回の検証でも、連携の有無で回答の正確さに大きな差が出ること、資料を更新すれば回答にも反映されること、そして用途に応じた使い分けが有効であることが確認できました。
今回紹介したGeminiとの連携を例として、NotebookLMには社内の業務を補佐する魅力的な機能が多く搭載されており、今後も早いペースでアップデートされていくことが予測できます。このサイトでは今後もNotebookLMに関連する記事を書いていく予定です。


コメント