中小企業のビジネスチャット比較|個人LINEの業務連絡をLINE WORKS・Chatworkに移行

「業務連絡は社員の個人LINEで回している」という中小企業はとても多いです。

訪問介護事業所や工務店でも、シフト変更の連絡、現場写真の共有、急なキャンセルの伝達が、すべて個人LINEのグループで行われているケースを見かけます。

たしかに個人LINEは手軽です。新しいアプリを覚える必要もなく、誰もがすでに使っています。ただ、会社の連絡手段として使い続けるには、見過ごせない幾つものリスクがあります。

この記事では、個人LINEでの業務連絡を卒業したい中小企業に向けて、移行先の本命である「LINE WORKS」と「Chatwork」の2つを比較します。

Microsoft TeamsやSlackなど他のビジネスチャットもありますが、「LINE WORKS」と「Chatwork」がなぜお奨めなのかも併せてご説明しますので、自社に合うビジネスチャットの選択のための判断材料にしていただければと思います。

目次

個人LINEの業務利用に潜むリスク

比較に入る前に、なぜ個人LINEのままではいけないのかを整理しておきます。社内で移行の合意を取るときの説明材料としてもお使いいただけます。

誤送信を防ぐ仕組みがない

個人LINEでは、業務のグループと家族・友人のトークが同じ画面に並びます。利用者さんの個人情報を含むメッセージを、誤って別のトークに送ってしまった――という事故は、実際に介護・医療の現場で起きています。

LINEには送信取消機能がありますが、2025年秋の仕様変更で取り消せるのは送信後1時間以内に短縮されました(有料のLYPプレミアム会員を除く)。1時間以内に誤送信に気づけるとは限りませんし、取り消す前に相手が読んでしまえば意味がありません。

退職時に連絡先と履歴が持ち出される

個人LINEのアカウントは、当然ながら社員個人のものです。退職した社員のスマホには、取引先や利用者さんの連絡先、業務のやりとりの履歴がそのまま残ります。会社側から削除させる手段はなく、情報管理の観点では大きな穴になります。

会社が管理・監督できない

誰がどのグループに入っていて、どんな情報が流れているのかを、会社側が把握する手段がありません。労務の観点でも、勤務時間外のLINE連絡が常態化して「実質的な時間外労働では」と指摘されるリスクがあります。個人のプライベートな道具に業務を載せている以上、ルールで縛るにも限界があります。

こうしたリスクを解消しつつ、現場の使い勝手を落とさないために選ばれているのが、ビジネスチャットです。

移行先の本命がLINE WORKSとChatworkである理由

ビジネスチャットには多くの選択肢がありますが、「個人LINEからの移行」という目的であれば、本命はLINE WORKSとChatworkの2つに絞られます

理由はシンプルで、ビジネスチャットの移行が失敗する原因のほとんどは、機能不足ではなく「現場で使われないこと」だからです。LINE WORKSとChatworkは、ITに不慣れなスタッフでも迷わず使えるシンプルさを持ちながら、個人LINEのリスクを解消できる管理機能を備えています。さらにどちらも国内の中小企業での導入実績が厚く、日本語のサポートや解説情報が充実している点も、専任のIT担当者がいない会社には重要なポイントです。

サービス提供元特徴を一言で無料プラン
LINE WORKSLINE WORKS株式会社LINEとほぼ同じ操作感。外部のLINEユーザーともつながれるあり(30人まで)
Chatwork株式会社kubell国産。タスク管理が標準搭載で、士業・中小企業に強いあり(機能制限つき)

この記事では次の4つのポイントを基にビジネスチャットを比較します。

  • 現場の社員が抵抗なく使えるか?(操作感がLINEに近いか?)
  • 社外の相手(顧客・取引先)との連絡をどうするか?
  • 会社としての管理機能は十分か?
  • 料金は人数規模に見合うか?

LINE WORKSは現場主体の会社向け

LINE WORKSはビジネスチャットの代表格であり、とくに現場主体の会社においては相性がいいです。

見た目と操作感がLINEと同じ

LINE WORKSの最大の強みは、見た目も操作感もLINEとほぼ同じであることです。スタンプも使えますし、トーク・既読の仕組みもLINEと変わりません。「新しいツールを覚えてもらう」というハードルが実質ゼロに近いため、ITに不慣れなスタッフが多い現場でも導入がスムーズです。

外部のLINEユーザーとそのままつながれる

もうひとつの大きな特徴が、社外の一般LINEユーザーとトークできることです。たとえば訪問介護事業所であれば、利用者さんのご家族は個人のLINEのまま、スタッフ側だけLINE WORKSに移行する、という形が取れます。顧客側に新しいアプリを入れてもらう必要がないのは、LINE WORKSならではの利点です。

管理機能で個人LINEの弱点を解消できる

アカウントは会社が発行・管理するため、退職時にはアカウントを停止すれば連絡先も履歴も持ち出されません。トーク履歴の監査機能や、端末紛失時のリモートデータ消去にも対応しており、個人LINEで挙げたリスクをほぼそのまま潰せる設計になっています。

料金と注意点

フリープランは30人まで使えますが、トーク履歴の保存期間などに制限があります。有料のスタンダードプランは1ユーザー月額450円(年額契約時)からで、30人の会社なら月1万数千円程度です。注意点としては、外部ツールとの連携の選択肢が多くないため、後述する業務自動化を本格的にやりたい場合は、API連携の作り込みなど工夫が必要になります。

Chatworkは士業・事務系の中小企業に定番

Chatworkは国産のビジネスチャットで、税理士・社労士・行政書士といった士業事務所や、その顧問先の中小企業で広く使われています。すでに取引先がChatworkを使っているなら、それだけで移行先の有力候補になります。

タスク管理が標準でついている

Chatworkの特徴は、チャットにタスク管理機能が組み込まれていることです。「この件、お願いします」というメッセージをそのままタスク化して、担当者と期限を設定できます。口頭やLINEでの依頼が流れてしまい「言った・言わない」になりがちな会社には、この機能だけでも移行する価値があります。

操作はシンプルだがLINEとは別物

操作自体は難しくありませんが、画面の見た目はLINEとは異なります。絵文字リアクションはあるもののスタンプ文化はなく、どちらかというと「メールとLINEの中間」のような落ち着いた使い心地です。事務スタッフ中心の会社なら問題ありませんが、現場スタッフが多い会社では、LINE WORKSに比べると定着のハードルがやや上がります。

料金と注意点

ビジネスプランは1ユーザー月額840円(年間契約時は月額700円)です。フリープランもありますが、メッセージの閲覧制限があるため、業務利用なら有料プランが前提と考えたほうがよいです。社外ユーザーともID交換でつながれますが、相手もChatworkアカウントを作る必要がある点はLINE WORKSと異なります。

どちらを選ぶか:判断の目安

ここまでの内容を、貴社の状況に当てはめて整理します。

訪問介護・工務店など現場スタッフが多い
⇒ LINE WORKS 操作がLINEと同じで定着しやすく、顧客側はLINEのままでよい

顧客・取引先と直接やりとりすることが多い
⇒ LINE WORKS 相手が個人LINEのままつながれる

士業事務所、または顧問先・取引先がChatwork利用
⇒ Chatwork タスク管理が業務に直結。取引先と同じツールなら連絡が一本化できる

「言った・言わない」の依頼漏れをなくしたい
⇒ Chatwork メッセージのタスク化で依頼が流れない

まずは無料で小さく試したい
⇒ LINE WORKS(フリープラン)30人まで無料で、移行ハードルが最も低い

迷ったら「現場の一番ITが苦手な人が使えるか」で考えてみてください。機能の多さよりも、全員が毎日使い続けられることのほうが、ビジネスチャット選びでははるかに重要です。

その他の選択肢:Slack・Teams・Google Chat

本命の2つ以外にも、ビジネスチャットには有力なツールがあります。それぞれ向いている会社がはっきりしているので、簡単にご紹介します。当てはまる場合は、こちらを先に検討する価値があります。

Microsoft Teams
Teamsは国内シェアは最大手です。ただしTeamsの場合は単体で選ばれるというより、Microsoft 365に含まれているから使われる、という事情が大きいです。追加費用なしで使えるので、すでにMicrosoft 365を全社契約しているならまずはTeamsを試してください。

ただし、Teamsはチャット・会議・ファイル共有などが一体化した重いツールなので、「LINEの代わり」として現場スタッフに使ってもらうにはやや複雑です。

Google Chat
GoogleChatもTeamsと同様に、Google Workspaceに含まれるチャットツールです。Workspace契約済みの会社なら追加費用なしで使えますので、契約状況によってはこちらが第一候補になります。

Slack
Slackは外部ツールとの連携の豊富さで群を抜くチャットツールで、IT・Web系の企業やスタートアップでは事実上の標準となっています。エンジニアがいる会社や、チャットを起点に業務自動化を組みたい会社には有力ですが、チャンネルやスレッドといった独特の概念があり、非IT系の現場が「LINEの代わり」に使うにはハードルが高めです。

まとめると、Microsoft 365またはGoogle Workspaceをすでに契約しているならTeams/Google Chatを先に検討、エンジニアがいて自動化重視ならSlack、それ以外の多くの中小企業はLINE WORKSかChatworkの2択、というのがおおよその選択肢です。

個人LINEからの移行をスムーズに進めるコツ

最後に、個人LINEからの移行を成功させるためのコツを3つご紹介します。

移行期間を区切る
まず、重要なのは移行期限を区切ることです。「来月から並行運用、再来月から個人LINEのグループは閉鎖」のように期限を明示しないと、便利な個人LINEにずるずる戻ってしまいます。

最初は機能を絞る
次に重要なのは最初は機能を絞るということです。トークと写真共有だけ、のように個人LINEでやっていたことの置き換えから始めて、タスク管理や外部連携といったビジネスチャット特有の機能は定着してから付け足していくとしたほうが、移行が成功しやすいです。

経営者・管理者が率先して使う
最後に気を付けておきたい点が、経営者・管理者が率先して使うという点です。社長が個人LINEで連絡してくるうちは、現場も積極的に移行してくれません。トップが最初に切り替えるのが、いちばんの推進力となります。

まとめ:チャット移行は業務自動化の入り口です

個人LINEの業務利用は、手軽さの裏で誤送信・情報持ち出し・管理不能というリスクを抱えています。現場スタッフが多い会社や顧客とLINEでやりとりする会社ならLINE WORKS、士業・事務系で依頼漏れをなくしたい会社ならChatworkという軸で、まずは無料プランから試してみてください。

そして、ビジネスチャットへの移行は、それ自体がゴールではなく業務自動化の入り口でもあります。たとえば「チャットに届いた問い合わせをAIが一次対応する」「日報をチャットに送るだけで集計が終わる」といった仕組みは、チャット基盤が整ってはじめて作れるものです。

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この記事を書いた人

1981年生まれ、名古屋出身。

2008年よりドイツ・ベルリンに在住。
ドイツの国家資格である職業訓練プログラム「アプリケーション開発専門IT技術者」を修了後、医療系自社開発企業にてデスクトップ・Webアプリケーションの開発に4年間従事。
2022年よりドイツの大手SIer「Adesso SE」にて、フルスタックエンジニアとしてリードポジションを務める。

2026年6月、AIエージェントと業務アプリ開発を軸とする株式会社ニューロシンクを設立。2027年に日本へ帰国し、日本の中小企業へのAI導入支援を本格的に開始予定。

著書「AI時代の海外移住戦略

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