訪問介護事業所向け勤怠管理アプリ比較|ヘルパーの直行直帰・掛け持ち・変形労働時間制に対応

「ヘルパーが直行直帰なので勤怠の把握が難しい」「処遇改善加算の申請に必要な書類を作るのが大変」「複数の事業所を掛け持ちしているスタッフの管理がうまくできない」——訪問介護事業所の管理者からよく聞く悩みです。

訪問介護の勤怠管理は、他の業種はもちろん、デイサービスや施設介護と比べても特に複雑です。この記事では、訪問介護事業所が勤怠管理システムを選ぶときの5つのポイントと、おすすめの5サービスを比較してご紹介します。


目次

訪問介護の勤怠管理が難しい理由

訪問介護の現場特有の事情が、勤怠管理を複雑にしています。

直行直帰が基本
ヘルパーは毎朝事務所に出勤せず、利用者宅に直接向かうケースがほとんどです。紙やExcelで出勤簿を管理している場合、打刻のためだけに事務所に立ち寄らせることは現実的ではありません。スマホや訪問先でのQRコード打刻が使えないシステムでは、正確な勤怠記録が取れないまま運用せざるを得なくなります。

複数事業所の掛け持ちが多い
訪問介護のヘルパーは、複数の事業所で非常勤として働くケースがよくあります。1つの事業所だけで労働時間を管理していると、合算すると36協定の上限に近づいていることに気づかないリスクがあります。

1日の中で職種・時給が変わる
訪問介護と訪問看護を兼務しているスタッフ、介護職とサービス提供責任者を兼務しているスタッフなど、1日の中で役割が変わるケースが訪問系では特に多いです。一般的な勤怠管理システムでは「兼務」の設定が難しく、手作業での集計が残ってしまいます。

処遇改善加算の申請に正確な記録が必要
2026年度の介護報酬臨時改定で、処遇改善加算の上位区分を取得するためには職員への賃金配分の実績記録が必要です。正確な勤怠記録がないと加算の算定自体ができなくなるリスクがあります。


選ぶときに確認したい5つのポイント

訪問介護事業所向けの勤怠管理アプリ選ぶうえで確認しておきたい5つのポイントを紹介します。

① GPS打刻または訪問先QRコード打刻に対応しているか
直行直帰の現場スタッフが、訪問先からスマホで打刻できるかどうかが最も重要なポイントです。GPS付きの打刻であれば位置情報も記録されるため、不正打刻の抑止にもなります。

② 変形労働時間制・中抜け・複数勤務に対応しているか
訪問介護は午前に1件・午後に2件という形で、1日の中に中抜けが発生する勤務パターンが多いです。この形式に対応していないシステムでは、実態に合った勤怠記録が取れません。

③ 兼務スタッフ・掛け持ちヘルパーを管理できるか
複数の職種・複数の雇用形態が混在する訪問介護事業所では、スタッフごとに異なる条件を設定できる柔軟性が必要です。

④ 処遇改善加算の算定に必要な帳票が出力できるか
勤務形態一覧表・賃金台帳・配分実績といった加算申請に必要な帳票を、システムから直接出力できるかどうかを確認してください。手作業で別途作成が必要な場合、かえって事務負担が増えることがあります。

⑤ 介護ソフト・給与計算ソフトと連携できるか
介護請求ソフトと別々に管理していると、月末に勤怠データと請求データを突き合わせる作業が発生します。すでに使っている介護ソフトとの連携可否を事前に確認しておくと、導入後の手間を大幅に減らせます。


サービス比較表

この記事で紹介する5つのサービスを表にまとめました。

サービス種別直行直帰・GPS打刻変形労働・兼務処遇改善加算対応介護ソフト連携料金目安
カイポケ介護総合型◎(自社完結)月額個別見積
ほのぼのNEXT介護総合型◎(自社完結)個別見積
LINDA勤怠特化型月額8,000円〜
ジョブカン汎用型△(要確認)要連携月額200円〜/人
Care-wing訪問介護記録特化型◎(ほのぼのNEXT連携)要問い合わせ

※処遇改善加算の帳票対応はサービスのバージョンやプランによって異なります。導入前に必ず確認してください。


各サービスの詳細

では、各サービスの詳細を見ていきます。

カイポケ|介護ソフト×勤怠管理を一本化したい事業所に

エス・エム・エス株式会社が提供する介護総合ソフトで、50,400事業所以上が導入しています(2024年4月時点)。介護請求・記録・勤怠・給与計算・給与振込までをカイポケ1つで完結できる点が最大の強みです

勤怠管理機能はカイポケの基本料金に含まれており、シフト作成・タイムカード打刻・勤務時間の集計が一元管理できます。パソコン・スマートフォン・タブレットから打刻でき、複数拠点でのデータ共有にも対応しています。

処遇改善加算の一本化への対応など、複雑な制度改正にも自動で準拠します。マネーフォワードと連携した会計・給与・勤怠管理も可能です。

ユーザーの声(良い点)
「これまでは訪問介護の記録を提出するために事務所に行く必要がありましたが、カイポケ導入後は記録を入力するだけでわざわざ事務所まで行く必要がなくなりました」「記録が自動で帳票・レセプトに連動し、転記作業がなくなって残業時間が減りました」という声があります。タブレット1台が無償貸与されるため初期コストを抑えてスタートできる点も好評です。

ユーザーの声(気になる点)
「不具合が出ることがある。記録が保存できないケースがあった」「強制的にトップページに戻ってしまい作業が振り出しに戻ることがある」といった声があります。多機能である分、全機能を習得するまでに時間がかかるという指摘もあります。

向いている事業所
開業したばかりで介護ソフト全体をまとめて整えたい・コストを抑えてスタートしたい小〜中規模の訪問介護事業所


ほのぼのNEXT|業界No.1シェア・充実したサポート体制

NDソフトウェアが提供する介護総合ソフトで、72,600事業所以上が導入しています(2024年4月時点・NDソフトウェア単体)。介護ソフト市場でトップシェアを誇ります

訪問系事業所向けに最適な専用アプリ「Care Palette Home/Nurse」を利用でき、タブレットにインストールして訪問先でもスムーズな記録が可能です。ヘルパーによる訪問介護や居宅介護のさまざまなサービススケジュールを管理でき、ヘルパーごとの稼働時間の集計が可能で賃金計算業務の省力化が可能です。

導入後は専任スタッフによる操作説明があり、サポートセンターのスタッフは全員「介護事務管理士」の資格を保有しているため専門的な内容にも対応できます

5年間の使用権で報酬改定費用がゼロになり、将来のコストを見通しやすい料金体系です。ただし価格は公開されておらず個別見積が必要です。

ユーザーの声(良い点)
「法人内での二重管理が解消され情報共有が円滑化した」「紙のカルテでは記録作業に1時間程度かかっていたが、導入後は5〜10分程度で入力できるようになった」「請求業務にかかる時間が大幅に短縮できた」という声があります。サポートセンターの対応の質が高いという評価も多いです。

ユーザーの声(気になる点)
「機能が多すぎて画面遷移が複雑で、新人研修に時間がかかる」「入力項目が多く、必須項目がどこかわかりにくい」「初期費用や月額料金が高い」という声があります。価格が非公開で個別見積が必要な点も、比較検討がしにくいという指摘があります。

向いている事業所
手厚いサポートを重視する・複数事業所を運営している中堅〜大規模の法人


LINDA|複数ステーションを横断管理したい事業所に

訪問介護・訪問看護・障害福祉などの在宅系サービスに特化した勤怠管理システムです。月額8,000円〜(1〜20人規模)と明確な料金体系が特徴です。

施設と訪問事業の両方に対応でき、複数のステーションを一元管理できる点が他のサービスとの大きな差別化ポイントです。AIを活用したシフト自動作成機能を備えており、職員の希望休を入力するだけでシフト案が生成されます。処遇改善加算の申請に必要な勤務形態一覧表もシステムから出力できます。

ユーザーの声
ユーザー口コミの公開情報が現時点では少ない状況です。導入前に必ず無料デモや資料請求で実際の操作感を確認されることをおすすめします。

向いている事業所
複数のサービス種別・複数の拠点を横断して管理したい・シフト作成の手間を大幅に削減したい事業所


ジョブカン勤怠管理|コストを抑えてまず勤怠だけ始めたい事業所に

シリーズ累計25万社・利用者数300万人以上が導入している汎用型の勤怠管理SaaSです。月額200円/人〜という低コストで、GPS打刻・変形労働時間制・シフト管理など基本的な機能が揃っています。

介護ソフト専用の機能はありませんが、「今すぐ紙やExcelの勤怠管理から脱却したい」「費用を抑えたい」という事業所には魅力的な選択肢です。処遇改善加算の専用帳票は搭載していないため、別途確認が必要です。

ユーザーの声(良い点)
「UIがシンプルで直感的に操作できるため、マニュアルなしで使い始められた」「変則的な勤務形態にも対応できるため、複雑なシフト管理に悩んでいた状況が改善した」という評価が多いです。低コストで多くの機能が使えるコスパの高さも支持されています。

ユーザーの声(気になる点)
「打刻の取消・変更を自分でできず管理者に依頼が必要なため、小さなミスでも手間がかかる」という声があります。介護特有の帳票・処遇改善加算への対応は別途確認が必要です。

向いている事業所
まず勤怠の電子化だけ先行したい・コストを最優先にしたい小規模事業所


Care-wing(ケアウィング)|訪問介護の現場に特化した記録管理

3,000事業所以上が導入している(2025年5月時点)、訪問介護・看護事業所の記録管理業務に特化したシステムです。勤怠管理専用のシステムではありませんが、訪問介護の現場実務に特化した設計が勤怠管理の面でも大きなメリットをもたらします。

ヘルパーの訪問をリアルタイムで確認でき、訪問の抜け漏れ防止になります。スマホを使用し入力を最低限にすることや操作性にこだわって開発しており、年配のヘルパーやスマホが苦手な方でも安心して利用できます

ほのぼのNEXTとの連携に対応しており、すでにほのぼのNEXTを使っている事業所が現場のスマホ打刻・記録入力を強化したいときに組み合わせると効果的です。

ユーザーの声(良い点)
「訪問先からリアルタイムで記録が送られてくるため、月末に記録が一気に集まる状況がなくなった」「スマホが苦手な年配スタッフでも使いやすい設計になっている」という声があります。特定事業所加算の算定要件への対応が評価されています。

ユーザーの声(気になる点)
導入事業所がまだ3,000事業所規模のため、ユーザー口コミの公開情報が他サービスと比べて少ない状況です。導入前に無料デモで確認されることをおすすめします。

向いている事業所
ヘルパーの年齢層が高くスマホ操作が不安・訪問介護の記録と勤怠をセットでデジタル化したい事業所

KINGOFTIMEなどの汎用型勤怠SaaSについて

KING OF TIME・マネーフォワード勤怠・楽楽勤怠といった汎用型の勤怠SaaSも、訪問介護事業所に導入することは可能です。ただし処遇改善加算の申請に必要な帳票・介護特有の兼務設定・介護ソフトとのデータ連携については、各サービスに直接確認することをおすすめします。


まとめ

訪問介護の勤怠管理で最も重要なのは、直行直帰に対応した打刻方法・処遇改善加算への対応・兼務スタッフの管理の3点です。

すでに使っている介護ソフトがあれば、まずそのソフトの勤怠管理機能を確認してみてください。カイポケ・ほのぼのNEXTのような介護総合ソフトであれば、追加費用なしで勤怠管理機能を使えるケースもあります。

新規で導入を検討している場合は、まず無料デモや資料請求で実際の操作感を確かめてから判断することをおすすめします。


勤怠管理システムだけでは解決できない場合

「既存の介護ソフトとの連携が難しい」「自事業所独自の集計フォーマットに合わせたい」「複数のシステムのデータを自動でまとめたい」といったご要望は、既製のSaaSでは対応しきれないことがあります。

当社では既存のシステムはそのままに、足りない部分だけを補う業務システムの開発を行っています。訪問介護の勤怠管理に関するシステム連携・カスタマイズのご相談はお気軽にどうぞ。

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この記事を書いた人

1981年生まれ、名古屋出身。
2008年より17年間ドイツ・ベルリンに在住。
ドイツの職業訓練プログラムを修了後、複数のIT企業でフルスタックエンジニアとして経験を積む。2022年よりドイツの大手システム開発会社で、リードエンジニアとして勤務する。小売・医療・メディアなど異なる業種に携わる。2026年6月株式会社Neurosynchを設立。2027年、日本に帰国予定。
著書「AI時代の海外移住戦略

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