NotebookLMの使い方|社内マニュアルを「聞けば答える」状態にする手順

社内の規程やマニュアルは整備したのに、必要なときに「どこに書いてあるのか分からない」ため、結局はベテランの社員に聞くしかない。そんな経験はないでしょうか。せっかくのドキュメントも、見つけられなければ無いのと同じです。

この記事では、NotebookLMに社内の規程やマニュアルを読ませる手順を解説します。目指すのは、質問すれば該当箇所を根拠つきで答えてくれる状態です。

手順は当社で実際に検証しながらまとめたもので、ツールの細かい操作よりも、「何を読ませ、どう整え、どう運用に乗せるか」という業務側の視点を中心にお伝えします。

Geminiと連携させて呼び出す方法など、ツールの操作そのものは別の記事で扱っていますので、詳しくはNotebookLMとGeminiを連携させる方法をご覧ください。

なお、記事中の仕様や利用上限は、2026年9月時点の公式情報に基づいています。

2026年7月16日に、NotebookLMはGemini Notebookへ名称が変わりましたが、既存のノートブックと共有リンクはそのまま使えます(2026年9月時点)。この記事では、検索で使われることの多い旧名の「NotebookLM」で表記します。

この記事で分かること
  • 社内資料を「聞けば答える」状態の中身とRAGとの関係
  • 読ませる資料の選び方と、外しておく資料
  • ファイル形式・ファイル名・置き場所の整え方
  • 資料の更新の反映と、チームで共有するときの注意

目次

「聞けば答える」状態とは?

最初に、目指すゴールをはっきりさせておきます。ここで目指すのは、社員が普段の言葉で質問すると、AIが社内資料の該当箇所を引いて答える状態です。

たとえば「健康診断の予約は自分で取るの?」と聞くと、規程やFAQに書かれた当社のルールに沿って答えが返り、どの資料を根拠にしたかもあわせて示されます。推測やネット上の一般論ではなく、当社の決まりごとに基づいて答えるのがポイントです。

これが実現すると、次のようなコストが減ります。

  • 資料を探す時間
  • 詳しい人に聞く手間
  • 人によって回答が違うことによる手戻り

属人化していた社内の知識も、誰でも引き出せるようになります。なお、属人化した業務そのものを整える順番は、属人化した業務をAIに任せる前にやることで解説しています。

ただし、この状態は資料をただアップロードすれば実現するわけではなく、何を読ませ、どう整えるかで精度が大きく変わります。

当社で試した例をひとつ紹介します。健康診断に関する質問を社内資料を読ませていないAIに投げたところ、実在する別の組織の名前を持ち出し、予約手順までもっともらしく作り上げて回答しました。完全な作り話です。

一方、社内資料を正しく読み込ませたうえで同じ質問をすると、当社の実際のルールに従った答えが返りました。検証の詳細は、NotebookLMとGeminiを連携させる方法で紹介しています。

この検証から分かるのは、「何を読ませるか」が回答の正しさを決めるということです。この記事で進める手順の全体像は、次のとおりです。

久野

ツールの操作より先に、何を読ませるかを決めてください。当社の検証でも、社内資料を読ませていないAIは、もっともらしい作り話で答えました。

手順やることポイント
資料を選ぶ規程・マニュアル・FAQを集める旧バージョンや重複は外す
形を整えるファイル形式・ファイル名・置き場所をそろえるExcelはGoogleスプレッドシートに変換する
追加して確かめるノートブックを作り、ドライブから追加して質問する引用元が正しいかを確かめる
更新を反映する資料の改定を回答に反映させる同期と開き直しを運用ルールにする
共有するチームに共有し、権限を決める共有すると資料の中身も見える

回答はRAGと同じ仕組みで作られる

NotebookLMがやっていることは、技術の世界で RAG(検索拡張生成) と呼ばれる考え方とほぼ同じです。ここを押さえておくと、「なぜ整理が大事なのか」「何ができて、何ができないのか」が分かります。

RAGとは、AIに知識を丸暗記させる仕組みではなく、質問のたびに外部の資料から関連箇所を取り出し、それを根拠にして答えさせる仕組みです。

NotebookLMと自前で組むRAGの構造を比べた図

図のように、どちらも次の流れで回答を作ります。

  • 質問を受けたら、関連する箇所を資料から探す
  • その内容をAIに渡す
  • 根拠つきの回答を作る

社内資料に書かれた範囲で答えるので作り話が起きにくく、どの資料を根拠にしたかを示せる点も共通です。先ほどの健康診断の例で正しく答えられたのは、この仕組みが働いたからです。

違いは、その仕組みを自分で組み立てるか、出来合いで使うかです。RAGを自前で構築する場合は、資料の分け方や検索の方法、使うAIまで、すべて自分で選んで調整します。一方、NotebookLMはそれらの仕組みがGoogle側に隠れていて、こちらが調整する余地はほとんどありません。手軽に使える代わりに、中身は触れない、管理されたRAGだと考えると分かりやすいでしょう。

この性質は、参照する範囲を固定できるという強みにもつながっています。Geminiアプリでも、チャットで「@Google ドライブ」を指定すれば、ドライブ内のファイルを探して答えさせられます。では、どう使い分ければよいのでしょうか。

  • 漠然と資料を探したいとき:ドライブ全体を対象にしたGeminiの検索的な使い方が便利です。
  • 答えがぶれては困る場面:規程について正しい回答が必要なときは、資料を絞ったノートブックが向いています。

ノートブックは参照範囲を固定できるため、同じ質問にいつも同じ根拠で回答します。こうした再現性のある状態を作れるのが、ノートブックを使う理由です。


読ませる資料を選ぶ

ここからが本題です。まずはAIに読み込ませる資料を選びますが、回答の精度はこの選び方でほぼ決まります。

社内の文書は、おおまかに三つの層で考えると整理しやすくなります。

  • 規程 ⇨ 経費精算規程や在宅勤務規程のような、会社の公式なルールを定めた文書
  • マニュアル ⇨ 業務の進め方や手順を示したもの
  • FAQ ⇨ 「規程には書いていないが、実際によく聞かれること」をまとめたもの

マニュアルがまだ手元にない場合は、業務マニュアルの作り方から始めると、叩き台を短時間で作れます。

三つの層のうち、見落としやすいのがFAQです。実務では規程の条文だけでは答えが出ない質問がたくさんあり、現場でよく出る疑問には次のようなものがあります。

  • 領収書を忘れたとき、ICカードの履歴で代用できるか
  • 在宅勤務手当と交通費は両方もらえるか

こうした答えは規程には載っておらず、FAQにしか書かれていないことが多いです。当社の検証でも、FAQにしか答えがない質問にAIが正しく答え、「FAQまで読めている」ことを確認できました。逆に言えば、FAQをそろえずに規程だけ読ませると、現場の具体的な質問には答えられません。

読ませるものを選ぶのと同じくらい、外すべきものを外すことも大切です。特に注意したいのが、失効した旧バージョンの書類が混ざることです。

たとえば経費精算規程が改定され、出張時の宿泊費上限が、古いバージョンの8,000円から新しいバージョンでは12,000円に変わったとします。両方をAIに読ませるとどちらを答えるかが不安定になるため、古いバージョンは外します。

同じ理由で、次のような資料も混ぜないようにします。

  • 内容が重複した資料
  • 質問と関係のない資料

資料が少なく、きれいにそろっているほうが回答は安定するため、「念のため全部入れておく」はかえって精度を下げると考えてください。

まとめると、「答えがそこにしかない一次資料だけを過不足なくそろえる」。これが、読ませる資料を選ぶときの基本です。


AIが読みやすい形に整える

読み込ませる資料が決まったら、AIが扱いやすい形に整えます。整えるのは、ファイル形式、ファイル名と置き場所、FAQの書き方の三つです。

ファイル形式をそろえる

まずは、ファイルの形式をそろえます。当社の検証では、Word形式の文書はNotebookLMの取り込み一覧に表示されましたが、Excel形式のファイルは一覧に出てきませんでした。

Excelファイルは、いったんGoogleスプレッドシート形式に変換する必要があります。変換すれば取り込み一覧に表示されるようになるので、FAQを表形式で管理している場合は、ここで引っかからないよう注意してください。

元のファイル形式NotebookLMで読めるか推奨対応
Excel(.xls, .xlsx, .xlsm, .xltx)ドライブ取り込み一覧に出ないGoogleスプレッドシートに変換すると使える
Word(.docx)読めるそのままでも可。挙動は検証日時点のもの
PowerPoint(.pptx)読める確実に同期させたいならGoogleスライドへ
PDF(.pdf)読める更新頻度が高い資料は純正形式が無難
テキスト(.txt)読める同上
Markdown(.md)読める同上
CSV(.csv)読める同上

公式ヘルプの対応形式の一覧にも、Excelは含まれていません。なお、Googleスプレッドシートは1ファイル10万トークンまでです(2026年9月時点)。

ファイル名と置き場所を決める

資料はGoogleドライブ上のまとまった場所に置き、ファイル名は後で「どれが現行版か」が一目で分かる形にします。ファイル名に版数や改定日を入れておくと旧バージョンが混ざるのを防ぎやすくなるので、たとえば次のように付けます。

資料ファイル名の例
規程経費精算規程_改定2026-04
マニュアル請求書発行マニュアル_v3
FAQ総務FAQ_更新2026-09

改定前の版はノートブック用のフォルダから別のフォルダへ移し、ノートブック用のフォルダには現行版だけが並ぶ状態を保ちます。

ノートブック用に規程・マニュアル・FAQをまとめたGoogleドライブのフォルダ

担当者が異動や退職をしても資料が残るように、置き場所は会社の共有ドライブにしておくと安心です。マイドライブとの違いは、共有ドライブとマイドライブの違いと使い分けで解説しています。

FAQには規程にない答えを置く

FAQを作るときは、規程と内容を重複させないほうが効果的です。規程には書かれていない実務的な疑問への答えを集めます。答えがFAQにしかない状態を作っておくと、AIは推測に頼らず、FAQの該当箇所を引いて答えます。

逆に、あちこちに似た記述が散らばっていると、AIはどれを根拠にすべきか迷うため、回答が安定しません。「この質問の答えは、この資料のここにしかない」という状態を作ることが、精度の高い回答につながります。

規程に書かれていない実務的な疑問をまとめたFAQの例

NotebookLMにソースとして追加する

資料の整備ができたら、NotebookLMに読み込ませます。具体的に言うと、ソースとして追加します。

ドライブから追加で取り込む

ここで重要な選択があります。NotebookLMにソースを追加する方法には、ファイルを直接アップロードする方法と、Googleドライブから追加する方法の二つがあります。

ここでは必ず「ドライブから追加(マイドライブ)」を選んでください。アップロードで取り込んだ資料は、後から元ファイルを更新しても自動では反映されません。一方、ドライブから追加した資料は、元ファイルの変更を反映できる状態になります。

ドライブの元ファイルを削除したり、アクセス権を失ったりすると、そのソースは開けなくなります。元ファイルはノートブック用のフォルダから動かさないでください。

質問してみる

取り込みが終わったら、実際に質問してみます。普段の言葉で構いません。「健康診断の予約はどうすればいい?」のように聞くと、資料の該当箇所を引いた回答が返ってきます。

回答には、どの資料を根拠にしたかが示されます。この根拠表示を確認する習慣をつけておくと、AIの答えが本当に社内資料に基づいているかを、その場で検証できます。

会話をリセットしたいとき

検証や運用をしていると、会話の流れをいったん切りたくなることがあります。ここで戸惑いやすいのが、NotebookLM本体には「新しいチャット」のようなボタンが見当たらないことです(2026年9月時点)。

会話をリセットするには、チャット欄の三点リーダー(操作メニュー)から「チャット履歴を削除」を選びます。ただし、削除した履歴は元に戻せません。残しておきたいやり取りがある場合は、削除する前にスクリーンショットを撮っておくことをおすすめします。

なお、ノートブックを共有しても、自分の質問は相手に見えません。


資料の更新を回答に反映させる

社内の規程やマニュアルは、一度作って終わりではないので、改定されたらAIの回答も最新の内容に合わせる必要があります。

公式ヘルプでは、Googleドライブから追加したソースは数分ごとに自動で同期されると説明されています。ソースを開いて「クリックして Google ドライブと同期」を選べば、手動でも同期できます。

ただし、当社が検証した時点では、次の挙動でした。

  • ファイルを更新した後、ノートブックを開いたまま1時間ほど待っても、回答に反映されなかった
  • ノートブックをいったん閉じて開き直すと、更新後の内容が回答に反映された

運用ルールには、資料を更新したら手動で同期し、ノートブックを開き直すという一手間を組み込んでおくと、「更新したのに古い回答が返ってくる」という混乱を防げます。

更新の運用では、次の三点を決めておくと安心です。

  • 誰が資料を改定するか
  • いつ改定するか
  • 改定したら、旧バージョンをどこへ移すか

改定のたびに旧バージョンがノートブック用のフォルダに残っていくと、古い情報が回答に混ざる原因になります。


チームで共有するときの注意

最後に、複数人で使う場合の注意点です。ここを見落とすと、見せてはいけない資料が見える状態になります。

共有範囲と権限を決める

NotebookLMのノートブックは、他の人と共有でき、共有された相手はそのノートブックの中で質問して、資料に基づいた回答を得られます。ただし、この共有はGoogleドライブでの権限とは別に働きます。

当社の検証では、ドライブ上で共有していない元ファイルの中身が、ノートブックを共有しただけで相手から読めました。共有相手は元ファイルへのアクセス権を持っていないのに、ノートブック経由で内容を参照でき、ソースの中身まで開けました。公式ヘルプでも、閲覧者は共有されたソースとメモを読み取り専用で閲覧できると説明されています。

つまり、ノートブックを共有することは、中の資料を全部見せることと同じであり、「回答だけ見せて、元資料は見せない」という想定は通用しません。

久野

ノートブックの共有は、中の資料を全部見せることと同じです。ドライブで機密文書を共有するときと同じ慎重さで、共有する相手を決めてください。

運用ルールは、次のように整理できます。

  • ノートブックを誰に共有するかは、ドライブで機密文書を直接共有するときと同じ慎重さで判断する
  • 「とりあえず広めに共有しておく」は避ける
  • その資料を見てよい人にだけ共有する

どの資料をAIに渡してよいかの線引きは、生成AIに社内データを渡していい範囲で整理しています。

ノートブックをチームメンバーと共有するときは、権限を選べます。当社で確認した内容と公式ヘルプの説明をまとめると、次のとおりです。

権限できること向いている相手
閲覧者質問する、ソースとメモを読む資料を勝手に追加・削除されては困る相手
編集者閲覧者の操作に加え、ソースとメモの追加・削除、他の人への共有一緒に資料を育てていく相手

編集者はノートブックをさらに別の人へ共有できるため、編集者を増やすほど、共有範囲の管理が難しくなる点に注意してください。また、前述のとおり、どちらの権限でも資料の中身は読めます。

ノートブックの共有画面で閲覧者と編集者を選ぶ画面

個人のGoogleアカウント(Gmail)から共有できるのは50人までで、Googleグループには共有できません。

会社のアカウントと料金を確かめる

社内の規程やマニュアルを扱うなら、会社のGoogle Workspaceアカウントで使うことをおすすめします。

Google Workspaceの多くのプランには、NotebookLMが主要サービスとして含まれます。仕事用アカウントでの扱いは、次のとおりです。

  • アップロードした資料やチャットは、フィードバックを送らない限りモデルの学習に使われない
  • 対象のエディションでは、資料やチャットが人のレビュー担当者に確認されない
  • 管理者が管理コンソール(生成AI > Gemini Notebook)で、組織部門ごとに利用のオン・オフを設定できる

無料版(Standard)の利用上限は、次のとおりです。

項目無料版の上限
ノートブックの数1ユーザーあたり100
1ノートブックのソース数50
チャットの回数1日50回

有料プランやGoogle Workspaceの上位プランでは、上限が増えます。ただし、公式ヘルプでは2026年9月2日から利用上限が変わると告知されているため、使い始める前に公式ページで最新の上限を確認してください。

プランごとの料金と、NotebookLMの提供範囲は、Google Workspaceの公式ページで確認できます。


まとめ

この記事の要点
  1. 答えがそこにしかない一次資料を、過不足なくそろえる
  2. ExcelはGoogleスプレッドシートに変換し、ドライブから追加する
  3. ノートブックを共有すると中の資料も全部見えるので相手を絞る

NotebookLMを使えば、社内の規程やマニュアルを「聞けば答える」状態にできます。ポイントは、ツールの操作そのものよりも、次の三つです。

  • 答えがそこにしかない一次資料を、過不足なくそろえる
  • AIが読みやすい形に整える
  • 更新と共有を運用に乗せる

NotebookLMは参照する範囲を固定できるので、答えがぶれては困る場面で力を発揮します。一方で、ノートブックを共有すると中の資料も全部見える、という権限の挙動には注意してください。

これから導入する会社は、利用と共有を管理者が管理できるGoogle Workspaceのアカウントで始めると安心です。

ツールの操作や、Geminiと連携させた呼び出し方は次の記事で解説していますので、この記事で「何を読ませ、どう運用するか」を押さえたら、あわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

1981年生まれ、名古屋出身。株式会社ニューロシンク代表。

2008年に渡独し、ベルリンで約18年間エンジニアとして活動。ドイツの国家資格である職業訓練プログラム「アプリケーション開発専門IT技術者」を修了後、医療系の自社開発企業でデスクトップ・Webアプリケーションの開発に4年間従事しました。2022年からはドイツの大手SIer「Adesso SE」で、フルスタックエンジニアとしてリードポジションを務めました。

2026年に日本へ帰国し、同年9月に株式会社ニューロシンクを設立。愛知・岐阜・三重の町工場を主な対象に、AI導入と業務システムの改善を支援しています。提案だけで終わらせず、工場に足を運んで一緒に手を動かす。そんな現場に立つAIエンジニアでありたいと考えています。

著書「AI時代の海外移住戦略」

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