「ピボットテーブルの使い方がよくわからない」「毎月同じ集計作業を手動でやっている」——そういった悩みを抱えている事務担当者や経営者の方に向けて、AIを使って集計を自動化する方法を実際に試した結果をご紹介します。
試したのは3つの方法です。Microsoft 365のCopilot・ChatGPTやClaudeへのファイルアップロード・PythonによるCSV集計。3つとも試した結果、Copilotがもっとも使いやすかったです。
ただし「どれが一番か」ではなく「用途によって使い分ける」が正解でもあります。それぞれの操作手順・実際の結果・向いている場面をまとめてご紹介します。
そもそもピボットテーブルとは
Excelに標準搭載されている集計機能です。大量のデータを「どの切り口で集計するか」を自由に組み替えられます。たとえば50行の売上データから「商品別の合計」「担当者別の合計」「月別×商品別のクロス集計」を、関数を一切使わずドラッグ&ドロップだけで作れます。
便利な機能ですが、2つの弱点があります。
この2つの弱点を、AIと組み合わせることで大きく解消できます。
方法① Copilot in Excel|話しかけるだけで集計が完成する
3つの中で最も直感的で使いやすい方法です。Excelの画面を離れずに、日本語で話しかけるだけで集計が完成します。
前提条件
Microsoft 365のライセンスが必要です。個人向けのMicrosoft 365 Personalであれば、Excel for the Web(ブラウザ版)でCopilot機能が使えます。Business向けプランにCopilot Businessアドオン(月額約2,698円〜)を追加すると、デスクトップ版Excelでも使えるようになります。
操作手順
1. OneDriveにExcelファイルを保存してブラウザで開く
Excel for the Webを使う場合、ファイルをOneDriveに保存した状態でブラウザから開きます。
2. データ範囲内のセルをクリックしてCopilotを起動
リボン上の「Copilot」ボタンをクリックすると、画面右側にCopilotパネルが開きます。

3. 日本語で指示を入力する
入力欄に以下のように入力してEnterを押すだけです。
商品別の売上合計をピボットテーブルで見せてください

4. 生成されたピボットテーブルをシートに挿入
Copilotが自動でピボットテーブルを生成し、「シートに追加」ボタンが表示されます。クリックするだけで新しいシートにピボットテーブルが挿入されます。

追加指示で集計の切り口を変える
最初の集計が出たあとも、会話形式で追加指示を出せます。
担当者別に並べ替えてください
月別にクロス集計してください
売上金額の多い順に並べてください
指示を出すたびにCopilotが集計を作り直してくれます。ピボットテーブルの操作方法を覚えなくても、やりたいことを日本語で伝えるだけで結果が出てくるのが最大の強みです。
使ってみた感想
3つの方法の中で最も快適に感じました。「月別×商品別のクロス集計を出して」という指示に対して、数秒でそのままExcelシートに挿入できる形で結果が返ってきました。CSVに変換する手間もなく、別のツールを開く手間もなく、Excelの画面上で完結するのは大きなメリットです。
普段からExcelで仕事をしている事務担当者・経営者にとっては、これが最も現実的な選択肢だと感じます。
向いている場面: Excelで日常的に仕事をしている・ツールを切り替えたくない・Microsoft 365をすでに契約している
方法② ChatGPT・ClaudeにCSVをアップロードして集計
プログラミング不要で、AIにCSVファイルを渡して自然言語で集計を依頼する方法です。
前提条件
ChatGPTまたはClaudeのアカウント(無料でも可)。ExcelデータをCSV形式で書き出す必要があります。
CSVの書き出し方(Excel for the Web) 「ファイル」→「エクスポート」→「CSV UTF-8としてダウンロード」で保存します。明示的にUTF-8形式を指定したほうが、文字化けの心配がありません。
操作手順
1. ChatGPTまたはClaudeを開く
2. 入力欄のクリップアイコンからCSVファイルを添付
3. 日本語で指示を入力する
このデータから商品別の売上合計を集計して表にしてください
4. 結果が返ってきたら追加指示で深掘りする
さらに月別にクロス集計してください
地域別の内訳も見せてください
グラフで表示してください(ChatGPT有料プランの場合)


使ってみた感想
会話形式で集計の切り口を変えていけるのは直感的で使いやすいです。ただし毎回CSVを書き出してアップロードし直す手間があります。一時的な分析や、「とにかく今すぐ試したい」という場面には向いていますが、毎月繰り返す定型集計には少し手間がかかります。
ChatGPT(無料版)は欲しい情報をすぐに返してくれるフットワークの軽さが良かったです。Claudeはテーブルの見やすさと、追加指示への応答の自然さが印象的でした。
向いている場面: 一時的な分析・ExcelやMicrosoft 365を契約していない・グラフも含めて結果を見たい
方法③ PythonでCSVを自動集計する
一度コードを書いてしまえば毎月CSVを差し替えるだけで同じ集計が自動で出てくる方法です。
前提条件
プログラミング環境が必要です。インストール不要で始めるにはGoogle Colab(colab.research.google.com)が便利で、Googleアカウントがあれば無料で使えます。
実際に動かしたコード
CSVファイルをColabにアップロードします。

以下のコードをColabに貼り付けます。
import pandas as pd
# CSVを読み込む
df = pd.read_csv('sales_data.csv', encoding='utf-8')
# 日付列から月を抽出
df['日付'] = pd.to_datetime(df['日付'])
df['月'] = df['日付'].dt.strftime('%Y-%m')
# 売上金額のカンマを除去して数値に変換
df['売上金額'] = df['売上金額'].astype(str).str.replace(',', '').astype(int)
# 商品別×月別のクロス集計
pivot = df.pivot_table(
values='売上金額',
index='商品名',
columns='月',
aggfunc='sum',
fill_value=0
)
print(pivot)実際の出力結果
上記のコードを今回のサンプルデータで実行した結果、以下のような商品別×月別のクロス集計が出力されました。

使ってみた感想
コードを書く段階では「列名が合っていない」「文字コードが違う」といった細かいエラーが出ました。エラーメッセージをそのままChatGPTやClaudeに貼り付けると修正方法を教えてくれるので、プログラミング経験がなくても試せます。
一度動くコードができてしまえば、毎月CSVを差し替えるだけで集計が完成します。この「繰り返し作業の自動化」という点では3つの方法の中で最も優れています。
向いている場面: 毎月同じ集計を繰り返している・大量データを扱う・業務の定期自動化に興味がある
3つの方法の比較
今回試した3つの方法をあらためて比較したいと思います。
| Copilot | ChatGPT / Claude | Python | |
|---|---|---|---|
| 操作の手軽さ | ◎ | ○ | △ |
| Excelから離れずに使える | ◎ | ✗ | ✗ |
| 繰り返し作業の自動化 | △ | △ | ◎ |
| グラフ生成 | ◎ | ○(有料) | ○(コード追加で可) |
| 初期コスト | 月額あり | 無料〜 | 無料 |
| プログラミング不要 | ◎ | ◎ | △ |
どれを選べばいいか
それぞれのアプローチは向いているユースケースが異なります。
まとめ
ピボットテーブルの弱点である更新の手間や属人化は、AIを組み合わせることで大きく解消できます。
最も手軽に試せるのはCopilotで、Excelを普段使いしている方であれば操作感がそのまま延長される感覚で使えます。「どれから試せばいいかわからない」という方は、まずCopilotを試してみることをおすすめします。
Excelの集計以外の業務も自動化したい場合
集計の自動化だけでなく、「基幹システムへの転記をなくしたい」「複数のシステムのデータを一元管理したい」「業務フロー全体をAIで自動化したい」という場合は、既製のツールでは対応しきれないことがあります。
当社では既存のシステムはそのままに、足りない部分だけを補う業務システムの開発を行っています。ExcelやSaaSと連携した自動化の仕組みについてご興味がある方は、お気軽にご相談ください。

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