毎日8時間以上デスクに向かっているのに、デスク自体は10年以上前から変えていない——そういった経営者・事務担当者の方は少なくないと思います。
士業や工務店の事務所では、引き出し付きのスチール製片袖机がいまも現役で使われているケースが多いです。書類や印鑑を引き出しに入れる習慣もあり、なかなか買い替えのタイミングがないのが現実です。
ただ、デスクは毎日長時間向き合う道具です。腰痛・肩こり・午後の集中力低下といった悩みの多くは、デスクと椅子を見直すだけで改善することがあります。
この記事では、長時間のデスクワークが多い経営者・事務担当者の方に向けて、電動昇降デスクの選び方とおすすめ5選をご紹介します。
電動昇降デスクを選ぶメリット
電動昇降デスクとは、ボタン操作ひとつで天板の高さを自由に変えられるデスクのことです。座って作業する高さと、立って作業する高さを切り替えて使えます。
腰への負担が減る
同じ姿勢で長時間座り続けると、腰椎への圧力が高まり腰痛の原因になります。1〜2時間に一度、数分だけ立って作業するだけで腰への負担を大幅に軽減できます。
午後の眠気・集中力低下を防げる
座りっぱなしで作業していると午後に眠気が出やすくなります。立ち姿勢に切り替えることで血流が促進され、頭がすっきりした状態を維持しやすくなります。打ち合わせの前や、重要な書類を仕上げる場面での集中力アップに効果的です。
健康経営の観点からも注目されている
近年、従業員の健康維持・生産性向上を経営課題として捉える「健康経営」の観点から、昇降デスクを導入する企業・事務所が増えています。小規模な事務所でも一人ひとりの作業環境を整えることが、長期的な生産性に直結します。

購入前に確認したい6つのポイント
昇降デスクを購入する前にチェックしたい6つのポイントを確認しましょう。
① デスクのサイズ
業務用として使う場合、幅120cmまたは140cmがおすすめです。
モニター1台・キーボード・書類を同時に広げるなら120cmで十分です。デュアルモニターを使う・書類を大量に広げながら作業するといった場合は140cmあると余裕が出ます。事務所の広さや配置に合わせて選んでください。
奥行きは60cmが最も使いやすいサイズです。70cm以上になるとモニターを手前に置いたときに奥にデッドスペースが生まれやすく、80cmになると手が届きにくい場所が出てきます。
② 昇降範囲
身長に合った高さに調整できるかを確認します。65〜120cmの範囲があれば、身長150cm台から185cm台まで幅広く対応できます。昇降範囲が狭いと、立って作業したい高さまで上がらないケースがあります。
③ メモリー機能
「座る高さ」と「立つ高さ」をあらかじめ登録しておくことで、ボタン1つで切り替えられます。これがないと毎回ちょうどよい高さに合わせる作業が必要になり、面倒で使わなくなりがちです。必ず搭載されているモデルを選んでください。
④ モーターの数と安定性
モーターが1つ(シングルモーター)より2つ(ダブルモーター)の方が昇降が安定し、重いモニターを置いても揺れにくいです。業務用として使うならダブルモーターを推奨します。
⑤ 天板の頑丈さ・厚み
見落としがちなポイントですが、天板の品質はモデルによって大きな差があります。
安価なモデルは天板が薄く・素材が粗いため、重いモニターやPC機器を長期間置き続けると天板が歪んでくる場合があります。特にモニターアームをクランプで天板に固定する場合、天板が薄いとクランプが食い込んで変形することもあります。
天板の厚みは2.5cm以上を目安にしてください。素材はメラミン加工のパーティクルボードが一般的ですが、山善のコンセント付き厚型天板モデルやコクヨのように厚みと素材にこだわったモデルを選ぶと長期間安心して使えます。
⑥ 組み立てと搬入
電動昇降デスクは天板と脚を合わせると40kg以上になる場合が多いです。一人で組み立てると床を傷つけたり指を挟む危険があります。必ず2人以上で組み立てるようにしてください。FlexiSpotは有料の組み立て代行サービスを提供しています。
搬入前に、エレベーターの有無・廊下の幅・ドアの開口サイズを確認しておくことを強くおすすめします。特に天板の幅140cmは一般的なドアの開口より大きい場合があります。

天板の色はナチュラル木目か白がおすすめ
電動昇降デスクは天板の色も重要な選択肢です。業務用として使う場合、以下の2色が使いやすいです。
ナチュラル木目(ウォールナット・メープルなど) 温かみがあり、士業・クリニック・工務店など「信頼感のある空間」を演出したい事務所に向いています。木目の色が明るいほど部屋が広く見えます。
ホワイト 清潔感があり、モダンな印象になります。狭い事務所でも圧迫感が出にくいです。デスク周りがすっきりして見えるため、書類が多い事務担当者の方に特に向いています。
ダークブラウン・ブラックは高級感がありますが、埃や傷が目立ちやすいため、業務用としては上記の2色が無難です。
おすすめ電動昇降デスク5選
① FlexiSpot E7|コスパと品質のバランスが最も取れた定番モデル
FlexiSpotは世界で最も売れている電動昇降デスクブランドです。E7はそのミドルクラスモデルで、品質・機能・価格のバランスが最も取れた一台です。
ダブルモーターを搭載しており、昇降時の安定性が高いです。LEDパネル付きの昇降コントローラーで高さの確認も一目でわかります。昇降時のモーター音が静かという口コミが多く、電話対応が多い事務所でも使いやすいです。
メーカー5年保証付きで、有料の組み立て代行サービスも利用できます。天板サイズは4種類から選べます。140cm×70cmがラインナップにあります(奥行き60cmモデルは別途天板のみ選択可能です)。
- 昇降範囲:58〜123cm
- 耐荷重:125kg
- 価格目安:5〜7万円台(セット)
- 天板色:ホワイト・ブラック・ウォールナットなど
② FlexiSpot EF1|入門として最も始めやすいFlexiSpotの廉価モデル
E7より手頃な価格で始めたい方向けのエントリーモデルです。シングルモーターですが、必要な機能はしっかり揃っています。
メモリー機能・障害物検知・静音設計はE7と同様に備わっています。「まず昇降デスクを試してみたい」「コストを抑えたい」という場合にはこちらが現実的な選択肢です。
- 昇降範囲:71〜121cm
- 耐荷重:70kg
- 価格目安:2〜4万円台(セット)
- 天板色:ホワイト・ブラックなど
③ 山善 電動昇降デスク(ELD-FS / EHD-1470)|老舗メーカーの安定感と実直な品質
山善は金属加工・工作機械の分野で90年以上の歴史を持つ国内老舗メーカーです。そのノウハウが昇降デスクにも活かされており、安定性と耐久性に定評があります。
ダブルモーター搭載で昇降が速く安定しています。衝突検知機能も備わっており、書類や椅子に誤ってぶつかった際に自動停止します。コンセント付きの厚型天板モデル(EHD-1470)は140cm×70cmで、作業スペースが広くモニターや書類を余裕を持って配置できます。
- 昇降範囲:71〜117cm
- 耐荷重:80kg
- 価格目安:3〜5万円台
- 天板色:ナチュラルウッド・ブラックなど
④ SANODESK E150|コストを抑えてFlexiSpot同等の品質を求める方に
SANODESKはFlexiSpotのサブブランドです。設計思想はFlexiSpotと同様で、機能的に大きな差はありません。昇降デスクの予算を抑えたい場合に真っ先に検討したいモデルです。
USBポート・フック・収納ボックスが標準で付属しており、デスク周りを整理しやすいです。天板は140cm×70cmのサイズが選べます。
- 昇降範囲:71〜117cm
- 耐荷重:70kg
- 価格目安:2〜4万円台
- 天板色:メープル・ブラックなど
⑤ コクヨ STANDSIT-W|国産品質にこだわる方への最高品質モデル
コクヨは言わずと知れた国内の大手オフィス家具メーカーです。シークエンスはその中でも昇降デスクのフラッグシップモデルです。
国内工場で生産されており、品質基準の高さが際立っています。昇降範囲が最大126.5cmと業界最広水準で、身長が高い方にも対応しています。指挟み防止構造・障害物検知・リマインダー機能(立ち作業を促す通知)を備えており、安全性と使い勝手が徹底して作り込まれています。
「長く使えるものに投資したい」「国産ブランドの安心感が欲しい」という経営者・士業の方に最もお勧めです。価格は高めですが、保証期間(構造部3年・可動部2年・外観1年)と品質を考えると長期的なコストパフォーマンスは高いです。
- 昇降範囲:66.5〜126.5cm
- 耐荷重:約60kg
- 価格目安:6〜8万円台
- 天板色:木目・ホワイトなど
5モデルの比較表
この記事で紹介した5つの昇降デスクをまとめて比較したのが以下の表です。
| モデル | 価格目安 | モーター | 昇降範囲 | 耐荷重 | こんな方に |
|---|---|---|---|---|---|
| FlexiSpot E7 | 5〜7万円 | ダブル | 58〜123cm | 125kg | バランス重視の定番を選びたい |
| FlexiSpot EF1 | 2〜4万円 | シングル | 71〜121cm | 70kg | まず試してみたい |
| 山善 EHD-1470 | 3〜5万円 | ダブル | 71〜117cm | 80kg | 老舗の安定感が欲しい |
| SANODESK E150 | 2〜4万円 | シングル | 71〜117cm | 70kg | コストを抑えたい |
| コクヨ シークエンス | 6〜8万円 | ダブル | 66.5〜126.5cm | 60kg | 国産品質・長く使いたい |
引き出しつきスチールデスクから乗り換える場合の注意点
従来の引き出し付きスチール机から昇降デスクに乗り換えると、引き出しの収納スペースがなくなります。
書類・印鑑・文具の収納は、別途サイドワゴン(キャスター付きの引き出し)を用意するのがおすすめです。FlexiSpot・山善どちらも対応するサイドワゴンを販売しています。デスク下に収めると昇降の邪魔にならない高さのものを選んでください。
また、古いスチールデスクの処分方法も事前に確認しておきましょう。粗大ゴミとして自治体に出す場合は数千円の費用がかかります。オフィスバスターズなどの中古オフィス家具の買取業者に依頼すると、引き取ってもらえる場合もあります。

まとめ
電動昇降デスクは「立ったり座ったりできる机」というだけでなく、長時間のデスクワークにおける健康維持・集中力の持続・腰痛の予防に直接効果のある道具です。
予算に余裕があればコクヨ STANDSIT-Wが長く使える最高の選択です。コスパを重視するならFlexiSpot E7が最も無難です。まず試してみたいならFlexiSpot EF1かSANODESK E150から始めるのが現実的です。
デスクは毎日8時間以上向き合う道具です。椅子と同様に、少し予算をかけて選ぶ価値のある投資です。

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